絶滅寸前「ドムドム」救った元専業主婦社長の半生 39歳初の職場は「SHIBUYA109」同僚は20代のギャル

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当時の109は若いお嬢さんのカルチャーの塊のような場所で、そこにいる彼女たちは輝いていたんですよ。

もちろん驚くことはたくさんあって、とくにファッションは全部がびっくり。

当時はローライズのパンツがはやっていたから、しゃがむとお尻が見えるんです。 しかも彼女たちはビジューやバタフライが装飾されたTバッグを履いていて。見せるための下着だなんて、衝撃でした。

反対に、意外な意味で驚いたのは、派手な見た目で言葉遣いもお世辞にはいいとは言えない彼女たちが、実はとても優しくて一生懸命だったこと。

例えば、お正月の初売り。荷物の搬入をしようと倉庫に入ったら、ガサガサ音がするんですよ。何かと思ったら、奥から同僚の女の子が出てきて。

「昨日朝まで遊んじゃって、家に帰ったら出勤できないから、遅刻しないようにそこで寝てた」って言うんです。

これってすばらしくないですか? 遅刻しないために職場に泊まり込むなんてすごく真面目ですよね。私は仕事に一生懸命な彼女たちのことがすごく好きになりました。

同時にみんなのことをリスペクトしていましたから、世代間ギャップを感じることもなく、109で過ごした日々は本当に楽しかった。

一緒にプリクラを撮ったりもしてね。彼女たちとは今でも仲良しです。

109ショップ店員時代の仲間たちと(写真:Woman type編集部)

44歳、「何もできない」から起業しかなかった

ところが5年後、お店の経営方針が変わり、残念ながら109を辞めなければいけなくなりました。

相変わらず、お店の外に出た私には、これといってできることは何もありません。

そこで考えたのが、起業です。それは夢のようなものではなく、私にとっては必要に迫られての選択でした。

当時は生活に困っていましたから、絶対に生活費を捻出しなければいけません。

でも、何のスキルもなく、パソコンも使えない44歳が月50万円くらい稼げる仕事なんてそうそうないじゃないですか。

でも、起業なら自分の努力次第で家族みんなを養うだけの収入を生み出せる。

何もできないからこそ、自分が稼ぐためにできることは、起業しかなかったんです。

(写真:Woman type編集部)
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