前年・前々年と比べても欲や気負いのない状態での受験。それが奏功したのか、ついに4浪目、5回目の受験にして杉山さんは東京大学理科II類に合格することができたのです。
「オンラインの合格発表を見て、自分の番号が目に入ったとき、変に俯瞰して『あぁ、終わったな……』と感じました。いろんな手段でゴールにたどり着こうと思って、その都度諦めてきたのに、思いもしなかった年に合格できて、『このルートだったか……』と思いました」
優等生の呪縛から解き放たれた
こうして4年にも及ぶ浪人生活を終えた杉山さん。
彼は浪人して良かったことを、「レールを外れることに対して過剰に反応しなくなったこと」と言います。
「東大生は真面目なので、みんなと同じルールを守って、そこからはみ出ずに堅実にこなしてきた人が多いと感じます。例えば、『楽をするのはよくない』と思って、興味のない授業を取って、卒業に必要となる単位以上の勉強をしている人もいました。
でも、その結果、本当に自分にとって必要なことができなくなることもあります。僕は浪人してから、『必要ないことを真面目にしなくてもいい』とふてぶてしい性格が身につきました。浪人で何度も失敗してきたので、その優等生の呪縛から解き放たれましたね」
また、浪人生活を頑張れた理由はやはり、小さい頃からの夢だったことと、中高受験で失敗したために大学受験は妥協したくなかったという2点が大きいそうです。
「夢にまで見た東大に入って、想像しなかったことがたくさん起きました。毎日本当に素晴らしい機会をいただいています」と語る彼は、現在、東京大学の3年生。法学部に進み、国家公務員試験に向けて勉強に励んでいるそうです。
「自分の物の考え方は法律の考え方と似ていると考えて、理系から方向転換して文系の法学部に進学しました。ここにきて、やりたい勉強に出会えた感じです。将来は省庁に入って、今勉強していることを生かし、日本のために頑張りたいと思います」
今、東京大学の3年生になった杉山さん。過去にたくさん悩み、苦しみ、その末に自分の望みを叶えた彼の目線は、今、日本の未来へと向いていました。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら