産育休を経て企業で働き続ける女性は増加している。しかし多くのワーキングマザーが、いわゆる「2人目の壁」に突き当たり、そのサポート体制は決して充実しているとは言いがたい。住宅や車の市場を見ても、今や日本の家族は夫婦と子ども2人の4人家族がスタンダードであり、国立社会保障・人口問題研究所による最新の『第14回出生動向基本調査』(2010年)では初めて、子ども2人未満の家族が2割を超えた。
そんな中、3人以上の子どもを産み育てながらキャリアも継続させる道を選んだ女性は、どのように人生を選択してきたのだろうか。そこで、この連載ではロールモデルとなる”子だくさんワーキングマザー”を訪ね、プライベートも含めた自分自身の生き方をどう磨いているのかを探る。彼女たちの柔軟なライフキャリアの築き方には、多くの働く女性が学ぶところがあるに違いない。
5児を育てる事業家も元は専業主婦志向
社会保険労務士の菊地加奈子さん(37)は5児の母だ。ブランクのある主婦を戦力に変えるしくみづくりを目指し、育休取得から復帰まで、企業と働くママをサポートしながら、認可外保育園の経営者として復職を願う女性たちを応援する。その穏やかな風貌とはうらはらに、抱っこひもで生後7カ月の第5子を胸に会議や出張に臨み、日々精力的に仕事をこなしている。
菊地さんは大学卒業後、商社の子会社で人事総務経理の仕事をしながら、結婚後は専業主婦になりたいと考えていた。両親は子ども3人を私大に通わせるため共働きを選択。体を壊しながら働き続けた母に感謝の念を抱きつつも、自分は家庭を守りたいという思いを抱いていたという。26歳で結婚する際にも、夫婦ともに「母親が働くのは子どもがかわいそうだ」という共通認識があり、妻がしっかり母親業を行う専業主婦家庭を築こうと話し合った。
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