5児の母は、こうしてキャリアを開拓した! 子だくさんワーキングマザーの仕事論<1>

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株式会社フェアリーランドを立ち上げ、認可外保育園経営を始めると、子だくさんという物珍しさから取材が殺到。仕事はますます広がった。夫も退職し、ともに経営に加わった。

子どもがいる大変さを隠すのはやめました

そのような中、2014年8月に第5子を出産。それまで4人の子どもがいるのをひた隠しにしてビジネスパーソン然とふるまってきた菊地さんだったが、ここで認識をガラリと変えた。「もう、5人の子どもがいる大変さを隠すのはやめようと思いました。この子は、生後1カ月から仕事に同伴。出張にも連れていきます」。

子連れで外出するだけでも、電車内や社会のあちこちで居心地の悪い思いをしがちな昨今。子連れ出勤に対する取引先の反応はまだ厳しいようだ。
「女性登用が叫ばれるご時世柄、みなさん絶対何も言いませんが、視線は感じるんですよね(笑)。でも、こちらも何も言えない状況を作るんです。子どもが騒がないよう、仕事先に着いたら寝かせるように準備するなど、見えない工夫は欠かしません。受け入れてもらう環境を自分たちで作らなければいけない。預けなければ働けない社会を変えるためには『こんなに大変なのにわかってくれない!』とグチるだけではダメなのです」。

女性の新しい"はたらきかた"についての詳細は、週刊東洋経済臨時増刊「ワークアゲイン」(好評発売中)をご覧下さい

甘やかしではなく、ひとりひとりのライフスタイルを重視して共に働けるような仕組みづくり。短時間勤務やパートを選ぶ人のための保育にも対応したい。それは“女性のわがまま”では決してない。

大きな展望をひょうひょうと語る菊地さんは、胸に子どもを抱きながらも、クールな職業人の表情を崩さない。一度入った家庭の中で、社会につながる扉を自身でこじあけたことから人生が大きく展開した。「出産後も会社に残り仕事に邁進することはできたと思う。でもそうしていたら、子どもは5人もいなかったかもしれません」。

一度は、仕事を辞めてしまったことを後悔もしたが、専業主婦として過ごした時間は、無駄ではなかった。自らのために再び仕事をがんばる力となり、子どもを産み育てることも手放さない生き方のベースを培った。自身の半生を“人よりも障害物競争のハードルが多い人生”と笑う菊地さん。働きたい専業ママたちを社会に引き戻す、新たな世界を見せてくれそうだ。

(撮影:梅谷秀司)

谷畑 まゆみ フリーランス エディター&ライター

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たにはた まゆみ

女性誌やWebメディアで編集や執筆を手がけるフリーランサー。目白大学大学院心理学研究科現代心理学専攻修士課程修了。日本心理学会、日本社会心理学会会員、産業カウンセラー、手相アナリスト。働く女性向けのファッション誌で、30代女性のライフスタイルを掘り下げる連載を6年間担当して以来、「女性の生き方」の企画がライフワークに。

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