破綻の暗号資産交換所FTXでくすぶる返金問題 「返還対象外」とされた顧客資産は10億円超
当社分別管理の対象外(資産返還の対象外)となります――。
「何度問い合わせしても同じ回答しか返ってこない」。そう憤るのは、暗号資産(仮想通貨)交換所のFTXで売買をしていた男性だ。男性は今、FTXの口座に入れていた数千万円相当の暗号資産を引き出せずにいる。
回答の送り主は「FTXジャパン」。現在、金融庁から業務改善命令を受けている。6月9日には、国外の関連会社などに同社の資産が流出することを防ぐ目的で金融庁が出している「資産の国内保有命令」の再延長が決まった。
FTXジャパンの親会社のFTXは世界大手の交換所だった。だが、顧客の暗号資産を無断流用するなど野放図なグループ経営を行い、2022年11月に破綻。その直後にFTXジャパンは、顧客が口座に預けていた日本円や暗号資産の出金・出庫を停止した。
「乗り換え組」に問題が発生
FTXジャパンが出金・出庫の再開、つまり顧客資産の返還を始めたのは今年2月。日本の規制の下、同社は顧客から預かった暗号資産などを会社の資産とは別に管理しており、約10万人いたFTXジャパン利用者の190億円分もの資産は、問題なく返還されるはずだった。
それにもかかわらず、FTXジャパンは男性など一部の利用者に「当社分別管理の対象外」と通告。返還の対象外となっている資産の額は、合計で10億円を超える規模とみられる。いったい何が起きているのか。
資産を引き出せないのは、モバイルアプリで海外のFTXを利用していた人たちだ。日本の暗号資産業界で著名投資家として知られる「ヨーロピアン」(ツイッターアカウント名)氏も、資産を引き出せずにいる。
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