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破綻の暗号資産交換所FTXでくすぶる返金問題 「返還対象外」とされた顧客資産は10億円超

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だが、利用者はそのような事情を把握できない。

「アプリストアでは『FTX Japan モバイルアプリ』がダウンロード済みになっていた。今まで使っていた『FTX App』が日本でも公式に使えるんだと思った。PCサイトでは別途、本人確認手続きをした。それで『FTX App』上の口座もFTXジャパンに移管されたのだと信じていた」。冒頭の男性はそう話す。

「『ftx.comと統合』というボタンがアプリ上に出たが、『ftx.jpと統合』ではなかったのであえて押さなかった」。口座統合の手続きで迷ったという別の男性もいる。「Blockfolio口座」と「FTX.com口座」を統合したうえで、FTXジャパンに移管するのだとは当時わからなかった。

責任は海外のFTXだけにある?

「FTX Japan モバイルアプリ」に名称が変わってもアプリの運営主体がブロックフォリオのままであることや口座統合の重要性が、どこまで周知されていたのか。FTXジャパンに見解を問うと次のような回答だった。

「FTX Trading側で提供されていたサービスやその顧客・利用者に関して、必要とされる情報提供や案内の内容や有無は、当社ではなくFTX Tradingから顧客に対して告知されるべきものである。また、当社においては、だれが『Blockfolio口座』の利用者かは認識していない」

「Blockfolio口座」の利用者を把握しているのは、海外のFTX(FTX Trading)とその子会社のブロックフォリオ。その2社でなければ利用者が必要とする情報を提供できなかった――。これがFTXジャパンの主張だ。

「『Blockfolio口座』は利用者の意思に基づいて利用されていた」。FTXジャパンは自己責任論も説く。ただ、アプリを通じて「FTXジャパン」とやりとりまでしているヨーロピアン氏のような例もある。はたして問題の原因は海外のFTXだけにあるのか。また利用者の自己責任と済ませていいのか。

FTXの倒産でトークンの価格が暴落するまでは、海外のFTXは売買できる暗号資産の種類が多く取引形態も多彩で世界的に人気だった(写真:Artsaba Family / PIXTA)

FTXジャパンを監督する金融庁や関東財務局は、利用者への対応や説明の状況を注視しているという。

ブロックフォリオが、FTXジャパンの名の下にアプリを運営していたことは問題とするものの、その責任は基本的に海外のFTXにあるとする。

利用者の中にはFTXジャパンに対する訴訟やADR(裁判外紛争解決制度)で事態の打開を図ろうとする動きがある。ただ、海外のFTXを中心にグループとして再建を進める中、日本法人が独自の判断で自社資産を取り崩すのは難しい。

一方で今の状況は、FTXジャパンにとってもデメリットだ。海外のFTXはFTXジャパンの売却を検討しているが、利用者との間のトラブルは売却交渉においてマイナス材料だ。FTXジャパンの先行きにも影を落としかねない。

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