低迷のビットコイン、メルカリ後発参入の勝算 暗号資産「冬の時代」でも口座開設者数が10万人

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フリマアプリとの連携を強みに、ライト層向けにビットコインの利用を促す狙い。メルコインの中村奎太CEO(右)とメルペイの山本真人CEO(記者撮影)

メルカリの子会社であるメルコインは4月3日、ビットコイン取引サービスが上々のスタートを切ったと発表した。3月9日の開始から3週間で利用者10万人を突破し、2022年の国内の暗号資産口座増加数の月平均である約6万5000(日本暗号資産取引業協会)を大きく上回った。

2022年11月のクレジットカード事業開始から、わずか4カ月後に暗号資産へ参入――。メルカリが新規事業を相次いで展開できる背景には、強固な顧客基盤がある。累計利用者数は約4800万人、年間流通総額は1兆円に迫る。今まで暗号資産を保有したことのないライト層に広く利用を促す狙いだ。実際、冒頭の利用者のうち約8割は、暗号資産口座を初めて開設したという。

ビットコインの売買はメルカリのアプリ内で完結し、売却後はスマホ決済サービスのメルペイ残高に移すことができる。売買時の手数料は実質無料だが、購入時と売却時の価格を約2%ずらして差額を徴収する仕組みとなっている。

メルコインの中村奎太CEOは「暗号資産の投資や投機の面ではなく、技術革新により価値の保有の仕方が変わる可能性に魅力を感じたのが出発点」と参入の狙いを語る。

すでにアートやゲームの世界では、ブロックチェーン技術に紐づいたNFT(非代替性トークン)の売買がグローバルで実現し、アメリカではスターバックスコーヒーなど大手の飲食メーカーでビットコインによる決済が可能となっている。「日本でもその日が来る」(中村氏)とみる。

フリマの売上金で気軽な投資を促す

暗号資産専業の他社と比べてメルカリが強みとするのが、フリマアプリとの連携だ。

ユーザーはフリマアプリで得た売上金で1円からビットコインを購入できる。「不要品がビットコインに変わる」ことをアピールし、給与などとは別の収入源から支出を促すことで、暗号資産購入の心理的ハードルを下げる戦略だ。

暗号資産講座を開いても、口座にお金を移して取り引きするまでには心理的なハードルがある。だがメルカリの場合、すでにアプリ内にユーザーの売上金が蓄積されている。アプリ内でサービス開始の告知も可能なため、認知拡大の広告投資も比較的抑えられるメリットがある。

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