架空投資話で損失、日本初「Q&A投稿サイト」の転落 創業メンバーが社長就任だが、新たな火種も

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OKウェイヴは自ら抱えた問題を解決できずにいる(記者撮影)

暗号資産ビジネスに賭けた揚げ句の転落劇――。2000年に日本で初となるQ&A投稿サイトの運営を開始したオウケイウェイヴ(OKウェイヴ)が危急存亡の秋を迎えている。かつてはアメリカのマイクロソフトが出資するほどの企業だったが、いまや見る影もない。

8月25日、株主の請求に応じて開かれたOKウェイヴの臨時株主総会で、福田道夫社長が解任された。代わりに社長に就いたのは、OKウェイヴ株1.3%を保有し総会の開催を求めた杉浦元氏。創業メンバーの1人として2008年までOKウェイヴの取締役を務めたが、その立場は大株主の1人に過ぎなかった。

「今までの経営陣はいわゆる『お友達』の関係。ブラックボックスの中で意思決定されてきたことが問題を大きくした。そこを一掃して真実を明らかにする」。同じ創業メンバーだった福田社長を解任に追いやったことには心残りもあるようだが、杉浦氏はそう意気込む。

杉浦氏のいう問題とは、OKウェイヴの投資資金34億円が運用委託先の破綻により回収困難になったことだ。2006年に名古屋証券取引所に上場して以来、同社の年間売り上げが50億円を超えたことはない。借金などを差し引いた純資産は直近で19億円。34億円を失うと痛い。

稼ぎ頭を売却して得たお金だった

解任された福田社長の前の社長は、2018年以降、暗号資産交換所の買収などに多額を投じたが、いずれも収益化できなかった。当時はコインチェック事件で「暗号資産の冬の時代」。その中で良案件とは言いがたい事業投資を進めた。前任社長は2020年、資金調達の交渉中に自身が保有するOKウェイヴ株を売却、これがガバナンス上の疑念を生み辞任した。

OKウェイヴには借金が残った。返済資金の確保に迫られ、福田社長は稼ぎ頭だった、企業向けFAQ(よくある質問と回答)システムの運営事業を売却する。運用に回したのはこうして身を切って得たお金だ。運用を任せたのはRaging Bull合同会社(レイジングブル)。ネット証券大手との親密な関係を生かし新規上場株で儲けると説明していた。

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