架空投資話で損失、日本初「Q&A投稿サイト」の転落 創業メンバーが社長就任だが、新たな火種も

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しかし投資の実態はなく、投資家から集めた資金をほかの投資家への支払いに流用していた。つまり投資話は架空だった。自転車操業で資金繰りに行き詰まったレイジングブルは2022年4月に破綻する。OKウェイヴはこのとき初めてレイジングブルで資金を運用していたことを開示。あわせて元本の34億円が回収困難になったと公表した。

レイジングブルに委託した経緯は、前経営陣が設置した調査委員会の報告書でおおよそ明らかになっている。運用の委託は2021年4月~2022年1月までに10回行われた。通算で124億円の運用を任せ、OKウェイヴは計10億円の利益を得た。戻っていない34億円は最後に運用委託した元本分だ。

運用委託を開始した当時、OKウェイヴは事業売却で60億円を得る算段をつけた一方で、株価が低迷していた。そのため、潤沢な資産を狙う「乗っ取り買収」の危機にさらされていたと前経営陣は調査委員会に主張している。そこで現金を一時的に減らす手段として投資を選択した。

営業を支援していた社外取締役

このときに契約書をチェックしたOKウェイヴの従業員は、「全体的に不備や雑な内容が多く、投資契約として適切な形をまったくなしておらず、問題点しか目につかない」と直言。常勤監査役も、過去の運用実績がわからないなど「問題は山ほどある」と考え、取締役会で疑問を呈した。

従業員の直言は、福田社長とともに今回解任された財務担当の野崎正徳取締役が、「契約締結できなかった場合の損失について責任が取れるのか」と封殺したことがわかっている。だが、常勤監査役の疑問の声については、前経営陣がどう議論したかは明らかにされていない。

社外取締役の廣瀬光伸氏が、レイジングブルへの運用委託に前向きだったことも、前経営陣の意思決定に影響を及ぼしたとされる。

アプリ紹介サイトを運営するAppBankでCFO(最高財務責任者)を務めた経験を持つ廣瀬氏は、金融取引の専門知識が豊富だと期待されていた。ところが、廣瀬氏はレイジングブルの営業支援者という顔を併せ持っていた。レイジングブルに投資家を紹介し紹介料を得ていたのだ。

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