アメリカの「銀行破綻」で試される当局の完全鎮火 「SVBショック」が示した利上げのリスク顕在化

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シリコンバレーバンク(SVB)は3月8日に増資を発表したものの、預金の引き出しは止まらず経営破綻に至った(写真:2023 Bloomberg Finance LP)

アメリカ金融市場で急速にシステミックリスクが顕在化している。はたしてそれは燎原の火のごとく今後広がるのか──。

3月10日、資産規模で全米16位の米シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻した。続いて12日にもニューヨーク州を拠点とするシグネチャーバンクで取り付け騒ぎが起こり、破綻に追い込まれた。

SVB破綻の原因は、FRB(米連邦準備理事会)の急速な利上げに伴い、資金調達と運用・貸し付けの財務バランスが悪化したことだ。SVBは、ベンチャーキャピタルファンドなどからの預金獲得で成長し、2022年3月末までの3年間で総資産は4倍近くまで膨張した(2022年末時点の総資産は2090億ドル<約28兆円>)。

増資の発表も「火消し」にならず

ただ、大量に集まった預金のすべてをベンチャー企業に融資することはままならず、総資産の6割弱を国債やMBS(不動産担保証券)など長期債券への投資に回すという極端な運用ポートフォリオを構成していた。ここへFRBの利上げが直撃。長期債の金利上昇(債券価格は低下)によって大量の含み損を抱え込むことになった。

信用不安が高まる中、SVBは3月8日に22.5億ドル(約3100億円)規模の増資計画を発表するとともに、保有債券を投げ売りして18億ドルの損失を計上したことを公表した。

だが、これが逆に信用不安を加速させて銀行取り付け騒ぎまで発展し、株価も一気に60%の下落となった。翌々日の3月10日に、カリフォルニア州当局はSVBの事業停止を決めた。

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