「シリコンバレー銀行破綻」で今起きていること 新興企業支える銀行の崩壊は何を意味するのか

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(写真:Jim Wilson/The New York Times)

アシュリー・ターナーがシリコンバレー銀行に自身の会社ファームボックスRxの口座を開設したのは2年前。ベンチャー資金の調達に取りかかろうとしていた彼女は、この銀行がスタートアップ業界の頼れる存在であることを知っていた。

そのシリコンバレー銀行の資金繰りが不安定化しているという記事を読んだターナーは3月9日、慌ててファームボックスRxの資金をほかの2つの銀行口座に移そうとしたが、送金できなかった。

そして10日、シリコンバレー銀行は破綻。これにより、メディケア(高齢者向け医療保険制度)やメディケイド(低所得者向け医療費補助制度)の加入者に食品を届けるターナーの会社が同銀行に預けていた1000万ドルを超える現金は動かせなくなった。

ベンチャーの中核的銀行

「担当者の誰も折り返しの電話をしてこない。人生で最悪の24時間だ」とターナー。

彼女の絶望は、スタートアップ業界に広がっているものの一部にすぎない。シリコンバレー銀行に預けていた資金が凍結されたため、起業家たちは給与支払い資金の融資獲得に大急ぎで動いた。同銀行の各支店には行列ができた。そしてテック業界の人々の多くの目はツイッターにくぎ付けとなった。同業界の金融の要となっていたシリコンバレー銀行の破綻状況をリアルタイムで追うためだ。

シリコンバレー銀行の破綻により、ただでさえ不安が広がっているスタートアップ業界に激震が走った。スタートアップの資金調達は何年も続いた低金利によってギンギンに加速していたが、昨年来の金利上昇と景気減速のあおりで失速。その結果、新興企業の多くが大規模レイオフ、経費節減、企業価値の低下に直面している。調査会社ピッチブックのデータによれば、アメリカのスタートアップ企業への昨年の投資額は2380億ドルへと、31%減った。

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