一般家庭もそうだが企業も金がなければ極端な話、破綻してしまう。そんな企業の財務健全性を示すのがネットキャッシュだ。現預金と短期保有の有価証券の合計額から、有利子負債と前受金を差し引いて算出する。企業の実質的な手元資金であり、これが多いほど財務的な安全性が高い。
東洋経済オンラインは約3700社以上の上場企業のネットキャッシュを割り出し、上位500社をランキングにした。例年同時期に同じ内容のランキングを公表しており、その最新版となる。
日本を代表する有力企業が並ぶ
最新ランキングの1位は、任天堂の1兆7108億円(前年1兆7423億円)となった。2位は信越化学工業の1兆4056億円(前年1兆1251億円)、3位は楽天グループの1兆2885億円(前年8090億円)という結果だった。
以降もトップ10圏内には、4位のファーストリテイリング、5位のキーエンス、7位のリクルートホールディングスなど、日本を代表する有力企業が並ぶ。
覚えている人も少なくないかもしれないが、2008年秋のリーマンショック時に頻発したのが「黒字倒産」だ。決算上の業績は黒字なのに資金繰りが急速に悪くなった企業が何社も倒産した。逆にいえば、本業がいくら赤字であってもキャッシュが回り続けていれば、企業が潰れることはない。
一方で、ネットキャッシュが積み上がっていることだけを単純に喜べない。成長のための投資や株主への還元という意味で、手元資金を持て余しているという見方もあるからだ。財務が健全だから、すべてが順調とも限らない。