東宝が「超一等地」に不動産を持っているワケ ゴジラの新宿の次は本丸の日比谷再開発へ
各地の映画館は、老朽化に伴う建て替えの際に、高層ビルへと転換。自社のシネコンでない部分をテナントに貸すことで、興行収入以外に賃貸収入を新たに獲得できる。映画館の場合、繁華街など都市の中心部に建てられることが多く、所有物件の多くが一等地だ。再開発でテナントを探せば、ホテルや飲食、小売業をはじめ、需要は旺盛。実際に前期の空室率は0.5%でフル稼働に近い。
ただし、所有物件は売却せず、再開発する方針を貫く。実は東宝の持つ賃貸等不動産は簿価が極端に低く、含み益は全上場会社でも8位にランクインするほど、多額の“遺産”を受け継いでいるのだ。設備も多くは減価償却が済んでいる。
旧新宿コマ劇場をリニューアルし、東宝は次の不動産開発へ向け、早くも動きだす。創業の地で本社を構える、日比谷の再開発だ。
次は帝劇、東宝ツインタワービル
現在、本社の入る東宝日比谷ビルの向かいでは、三井不動産の主導で、「新日比谷プロジェクト」が進められている。東宝はそこにシネコンを出店する予定。代わりに、近接する有楽町センタービルのTOHOシネマズ日劇と、ミニシアターのシャンテを閉館する。この映画館の跡地がまず最初の開発案件になる。
加えて大型の案件も俎上に載っている。築50年近い帝劇ビルと、東宝ツインタワービルだ。このうち帝劇ビルは三菱地所との共同事業。すでに、物件を所有する東宝不動産を完全子会社化し、着々と準備を進めてきた。さらに新規物件取得も検討しており、その選定基準は、「映画・演劇とシナジーが出せるところ」(太古伸幸常務)と決めている。
本業の映画では、『STAND BY ME ドラえもん』などの大ヒットで、前期まで3期連続最高純益の東宝。あまり目立たないが、不動産業者としての東宝も、隠れたもう一つの顔である。
(撮影:風間仁一郎)
(「週刊東洋経済」2015年5月2-9日号<4月27日発売>「核心リポート02」を転載)
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