子育て教員「夫や実家の協力ないと破綻」のリアル 5人の教員が語った「個人の工夫だけでは限界」

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石田:2022年度から本格的に小学校高学年の教科担任制が始まっていますが、それを自分たちの裁量でやるということですよね。実現可能なのでしょうか。

A:はい。教務主任の先生などへの相談は必要ですし、時間割の打ち合わせはちょっと面倒ですが、すごく効率化できましたよ。1年を通してこれをやろうと思うと負担は大きくなりますが、「この単元とこの単元を入れ替えよう」といった、個人間での一部の授業の交換は可能だし、効果的だと思いました。

「午後6時以降の会議は出ません」と宣言

(Bさん)
公立中学校教諭。小学5年生と6年生の子どもがおり、今年4月から学級担任に復帰。

石田:Bさんは、この春から学級担任に復帰されたそうですね。

B:私は5年間の育休を取得した後に、復帰して4年間働きました。その後数年間、家庭の事情で現場を離れ、この4月からまた復帰しましたが、学級担任は久しぶりでめちゃくちゃ忙しいです。

石田:現在、どんな効率化を図っていますか。

B:私もAさんと同じく家電に頼っています。「ホットクック」は切った食材と調味料を入れてボタンを押すだけで帰宅するとご飯ができており、「ルンバ」も帰ってくると家がきれいになっているので毎日使っています。乾燥までやってくれるドラム式洗濯乾燥機も、夜にセットして朝起きたら洗濯が終わっているし、洗濯物を外に干す手間もありません。

石田:今や電気調理鍋やロボット掃除機、ドラム式洗濯乾燥機は、女性教員の皆さんにとって三種の神器なんですか?

B:それと、食洗機も。ワーキングマザーの定番ツールですね。そのほか、草取りなどの庭の掃除は、シルバー人材の方にお願いしています。コロナ禍を機に主人の働き方も変わり、最近はテレワークで子どもの世話をしてくれるようになりました。結婚相手が教員だったら、こうはいかなかったと思います。また、子どもを自立させることも意識しています。例えば、学校から帰って取り組むルーティーンを決め、復帰前から練習させましたね。

石田:学校ではどのような時短の工夫をしていますか。

B:学年会などが午後6時から始まるのですが、「午後6時以降の会議は出ません」と宣言し、資料を読んだり誰かに確認したりする形にしています。また、私もいつでも休めるように、授業をとにかく早く進めるようにしています。

石田:Cさんは、この春に育休から復帰されたんですよね。

(Cさん)
公立小学校教諭。子どもは1歳と4歳。4年間の育休を経て、通級教室の担当として復帰。

C:4年ぶりに復帰しましたが、私も子どもたちも新生活に慣れるのが大変です。でも、ありがたいことに今年度は、学級担任ではなく通級教室の担当に配置されたので、4月の激務がない形でスタートを切れました。ただ私の学校は、研究校のような役割があり、それに向けた取り組みが午後6時から始まるんです。そういう活動には出られないと最初に伝えましたが、女性で子どもがいるのは私だけという環境なので心苦しい面もあります。

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