日本人が知らない「感情」が果たす超重要な役割 世界中の研究機関が注目する「感情神経科学」

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
感情や情動は理性にはできない方法で、私たちの思考や意思決定に役立っています(写真:picmin/PIXTA)
かつて、感情は理性による論理的な思考を妨げるものであり、避けたり抑えたりすべきものとされていた。しかし、「感情神経科学」という注目を集める研究によって、感情や情動は人間の意思決定などに大きな役割を果たしていることが明らかになっている。感情や情動は直感的で正しい判断を下すために必要不可欠であり、それをコントロールすることは、社会的成功にとっても欠かせないものなのだ。今回、日本語版が6月に刊行されたレナード・ムロディナウ氏の著書『「感情」は最強の武器である』より、一部抜粋、編集の上、お届けする。

脳による情報処理の方法

人間の脳はよくコンピュータにたとえられるが、そのコンピュータの情報処理は、我々が感情と呼ぶとても謎めいた現象と複雑にからみ合っている。

『「感情」は最強の武器である:「情動的知能」という生存戦略』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

誰しも不安になったり、恐れをなしたり、怒りが湧き上がってきたりしたことがある。かっとなったり、絶望したり、どぎまぎしたり、寂しくなったりしたことがある。喜んだり、誇らしく思ったり、興奮したり、安らぎを感じたり、欲情が抑えきれなくなったり、人を愛したりしたことがある。

このような情動がどのように作られるのか、どうすれば操ることができるのか、どんな目的を持っているのか、私が子供の頃にはほとんど明らかになっていなかった。

同じ出来事に対して2人の人が、あるいは同じ人でも別のときには、なぜまったく違う反応を取るのか、それも解明されていなかった。

次ページ情動と理性では作用のしかたが異なる
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事