「このような症状があっても、学校に行けているようであれば、しばらくは様子を見てもいいかもしれません。この病気は成長とともに改善することも少なくありませんので。一方で、学校に行けなくなり、生活が乱れるなど日常生活に支障が出ている場合は、一度、医療機関で診てもらったほうがいいかもしれません」(永井さん)
受診先の医療機関は、「小児科であればどこでもかまわない」とのこと。永井さんによると、今では起立性調節障害は決してめずらしい病気ではなく、地元の小児科医でも診る機会が多い病気の1つだという。
「そこで基本的な診療をしてもらい、重症だったり、ほかの病気を合併していたりするなどがあった場合は、より専門的な施設を紹介してもらうといいでしょう」
治療は、血圧を上げる薬(昇圧薬)などを用いる薬物療法と、水分摂取、塩分摂取の励行などの非薬物療法などの2本柱で行われることが多い。
「不登校がある場合は、まず学校側に本人の病状を理解していただくようにして、担任や、必要であればスクールカウンセラーなどを含めて、可能な範囲でその子をサポートできるかたちが望ましいです」(永井さん)
病気に対する正しい理解を
ここからは、わが子が起立性調節障害と診断されたときに、家族が心がけたいことについて紹介していきたい。
いろいろな書籍やウェブサイトなどでは、朝起きられない子どもを「“怠けもの”と叱らないで」というように紹介されている。実際、起立性調節障害の子は、午前は倦怠感や立ちくらみなどの不調があるものの、午後には元気になる傾向がある。このため本人が怠けているようにも思われることがしばしばある。
「治療を進めていくうえで大事なのは、保護者やお子さん自身が病気について“正しく理解する”こと。実際、診療ではそこに時間をかけます」と永井さん。
起立性調節障害は基本的には「体の病気」だが、それによって学校に行けなくなって、勉強が追いつかなくなる、友だちとの人間関係がうまくいかなくなるという問題につながりやすい。その結果、「メンタルの問題」にも発展することがある。
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