「こうした調整がうまくいかないのが起立性調節障害の特徴で、朝起きられない、午前中は具合が悪い、立ちくらみやめまいを起こしやすいといった症状のほか、頭痛や倦怠感も表れます」(永井さん)
起立性調節障害は、思春期に起こりやすいといわれる。過去に行われた思春期の健康調査では、中学生の男子の16%、女子の25%、高校生男子の21%、女子の27%に起立性調節障害をうかがわせる症状が見られた。こうしたことは思春期の時期の体の成長に自律神経の機能が追いつかず、アンバランスな状態が生じるためだともいわれている。
「ただ、医学的にはメカニズムがはっきりと証明されているわけではなく、別の要因もあるのではないかともいわれています」と永井さん。
その要因の1つが体質的な遺伝だ。親がこの病気にかかっていたことがあると子どももかかりやすい傾向があることは、以前から指摘されている。
もう1つは、ストレスだ。過剰なストレスは自律神経の機能に影響を及ぼすこともある。そういう意味では、ストレスが発症の一因になりうる。
「周りに気を遣うこと」がストレスに
また、性格的な傾向が発症に関係していることもある。たとえば過剰適応という、いわゆる“周りに気を遣ういい子”は、ストレスを受けやすい傾向があり、ときとして起立性調節障害などの発症リスクになることもある。
このほか、最近では発達障害と起立性調節障害の関係も指摘されている。なかでも、重症の起立性調節障害の子のなかに、発達障害の1つである自閉スペクトラム症を併発している子が多いことの報告もある。
起立性調節障害で起こりやすい症状は次のとおり(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
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