【起立性調節障害】思春期に増える「不調の正体」 「朝起きられない」は病気かも、正しい理解を

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起立性調節障害は周りの理解も重要です(写真:rjhowmanyo/PIXTA)
朝、時間になっても起きられない、午前中は具合が悪いのに夕方から元気……。わが子がもしそんな感じだったら、「起立性調節障害(OD)」という病気を疑ってもいいかもしれない。起立性調節障害は「怠けているのでは?」と誤解されやすい病気でもある一方で、家族や親など、まわりの理解や支えがとても重要な病気ともいえる。どんな心がけが必要なのか、病気のしくみや治療法などについて、国立成育医療研究センター総合診療部、診療部長の永井章さんに聞いた。

診療の現場では、春先や夏休みなどの長期休暇のあとに増えるともいわれる起立性調節障害。

「この病気をひと言で説明すると、“血圧や心拍を調整している自律神経の調整機能が、十分に機能しないことで生じる病気”、ということになると思います」と永井さん。

自律神経の不調が原因

自律神経とは、私たちの体のさまざまな機能を調整している神経のこと。不安になったときに心臓の鼓動や脈が早くなったり、寒いときに体温が上がったりするのは自律神経の働きによるもので、私たちが自分の意思で自律神経を調節することはできない。

この自律神経がつかさどっているさまざまな機能のうち、体の臥位(横になっている状態)から立位(立っている状態)へ体位を変える際に、血圧や心拍数の調整に関係するところに問題が生じているのが、起立性調節障害だ。

ふだん私たちにはそういう感覚はないが、体は気温や昼夜、置かれている環境などの変化に合わせてつねに調整を図り、恒常性(ホメオスタシス)を維持している。そのなかの1つが、姿勢の変化による血圧の調整だ。

例えば、頭の高さ。寝ているときは心臓と同じ高さだが、立っているときは心臓より高くなる。そのため、立ち上がったときに寝ているときと同じ血圧のままだと、脳に血液が届きにくくなってしまう。それを防ぐために心拍数や脈拍数を上げて、血流を脳に届かせている、というわけだ。

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