「理事の半数以上を女性に」東大で起きた大変化 副学長・林香里さんに聞く数のパワーとは?
ーー 一般企業でも、女性の役員や管理職を増やす動きが進んでいますが、先ほど言及があったように、「女性にげたを履かせるのか」といった声が上がるケースも少なくありません。
そんな言い方をするのは、本当に勘弁してほしいですよね。
これは友人からも聞いた話なのですが、私も仕事と子育てを両立してきた一人としてその経験から言わせてもらえば「げたどころか、せめて靴くらい履かせてよ」というのが本音です。
ジェンダー的に表現するなら、男性たちは最新のスポーツシューズを履いて、きれいに整備されたトラックを走っているようなもの。
一方で女性たちは、石や穴だらけのデコボコ道をはだしで走らされている。だからせめて靴を履いて歩きたい。女性たちはそんな気持ちなのです。
男性だけが履いてきた靴を、これからは女性も履く
ですから、身の回りに「女性にげたを履かせる」なんて言う人がいたら、その認識は明らかに間違っていると申し上げたい。
また、女性たちにはそんな声を気にせず、自分の信念を持って働いていただきたいですね。ずっと男性だけが履いてきた靴を、女性もこれからは履きますよというくらいの気持ちでいればいいんです。
ただそれでも、周囲のネガティブな反応を乗り越えるのは大変だと思います。そんなときは、ぜひ「あの男性ばかりの東京大学」も多様性改革に取り組んでいるということを思い出してください。
私たちが女性教員の数を増やそうとしたり、ダイバーシティ&インクルージョンの宣言を出したりしているのは、それが世の中の女性たちへの応援になると思うからです。
皆さんがキャリアに悩んで「もうだめかもしれない」と心が折れそうになったときに、「いや、東京大学が『組織に女性の数を増やすのは正しい』と言っているのだから、自分は何も間違っていない」と思っていただけたら、私たちにとってもそれが一つの励みになります。
この記事を読んでいる女性たちには、自分を大切にしながらキャリアを、そして人生を切りひらいてほしい。私も東京大学も、皆さんのことを心から応援しています。
取材・文/塚田有香 編集/栗原千明(編集部)
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