「理事の半数以上を女性に」東大で起きた大変化 副学長・林香里さんに聞く数のパワーとは?
ーー22年9月には、「2027年までに教員の女性比率を25%にする」との目標を掲げました。さらに同年11月には、「2027年度までに女性の教授・准教授を約300人採用する」という計画も打ち出しています。これらの数値目標を設定した狙いをお聞かせください。
現状では内部昇格も含めて年間約200名の教授・准教授が着任していますが、そのうち女性は35名ほどにとどまります。
これを約1.4倍の年間約50名に増やし、6年間実行すると、女性の教授・准教授を300名採用できる見込みです。
目標を立てて皆が同じ方向を目指すには、数字が非常に効果的な道具になりますが、あくまで道具ですから、数値目標を掲げただけでさまざまな課題が一気に解決するわけではありません。
「どの組織でも、数のバランスは重要」
それでも改革を進める上で「数」は重要になると考えています。
ーーそれはなぜですか?
皆さんが会議に出席したとき、参加者の9割が男性で女性が1割しかいなかったら、やはり疎外感がありますよね。
企業の取締役会などでも、女性が自分一人だったらどうしても意見が言いにくいし、男性たちの意見に影響されて自分自身のものの見方も偏ってしまうかもしれない。
それに、どんな人間も、自分の人生や体験からは自由になれません。
男性か女性か、親になったことがあるかないか、どこで生まれてどこで暮らしてきたのか。そういった個人的な要素が、自分の意識や価値観に深く関わってくるからです。
だからその場にいる人たちが同質であれば、同じような意見や考え方に偏ってしまう。でも、多様な体験を持つ人で構成されていれば、議論が活性化されて良いアイデアや優れた発想を生み出すことにつながります。
ですから大学だけでなく、どの組織においても数のバランスは重要なはずです。