「理事の半数以上を女性に」東大で起きた大変化 副学長・林香里さんに聞く数のパワーとは?

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ーー大学の執行部から学生まで、全ての層を巻き込んだ改革になりますね。

大学を構成する全員が意識を共有しなければ、本当の意味で組織を変えることはできません。

教育の現場にはダイバーシティが不可欠であり、多様な人たちがそれぞれに能力を発揮するからこそ、学問や研究において高い成果を出せる。

「なぜ多様性が必要なのか」を全ての人が本質的に理解し、改革推進の空気を学内に醸成して、組織に多様性を根付かせるための土壌をつくることが必要です。

「女性だからげたを履かせたんでしょ」

現在は藤井総長の強力なリーダーシップのもとで多様性改革が進んでいますが、これが一時的な取り組みで終わってしまっては意味がありません。

きちんと土壌をつくらないまま、瞬間風速的に女性教員が増えたとしても、あとになって「あの人は女性だからげたを履かせたんでしょ」という目で見られかねない。それではダメなんです。

ーー日本では研究者における女性の割合が令和3年度時点で17.5%と、OECD諸国の中でも最低水準にとどまっています。日本は企業の女性管理職比率や女性議員比率など、あらゆる領域で海外に比べて数値が低い状況にありますが、学術研究の世界でもなかなか女性が増えない現状をどう感じていらっしゃいますか。

海外の大学や研究機関も、1980年代までは男性が非常に多かったんですよ。

でも、1990年代以降、米国やヨーロッパを中心に制度改革や意識改革を強力に推進し、女性研究者の割合を増やしてきた経緯があります。

近年はノーベル賞を受賞する女性研究者もいる。これも欧米で多様性改革が進み、女性が活躍しやすくなったことを反映しているのでしょう。

こうした海外の状況を見ると、「日本は2023年になってもまだここか」と頭を抱えたくなります(笑)

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