「最も多い悩みは、手のひらの汗です。授業や試験中に汗が止まらず紙がベチャベチャに濡れてしまう、スマホが汗で壊れたといった悩みのほか、美容師、医療従事者など人に接触する職種の方では、お客さんや患者さんに触れられない、手が滑って業務に支障が出るといった悩みをお持ちです」(横関医師)
ほかにも、汗で手がつなげない、握手ができない、子どもに嫌がられるといった悩みも多く、人との交流を避けるようになって精神的に追い込まれるケースもあるそうだ。このことからも、多汗症のQOL(生活の質)への悪影響は想像以上に大きく、軽視することはできないといえる。
原発性局所多汗症の診断とは?
では、自身の多汗がどの程度なら病院に行くべきなのか?
「汗によって生活に支障が出ているようなら、皮膚科や内科の受診をお勧めします」と横関医師。原発性局所多汗症の診断基準は次の通りだ。
「睡眠中に多汗がなければ、精神性発汗異常による原発性局所多汗症の可能性があります」(横関医師)
ところで、原発性局所多汗症の原因はわかっているのだろうか。横関医師は、「研究は進んでいて、汗を出す汗腺そのものには問題はないといわれています」と話す。
「重症なケースでは、遺伝的な要因や脳の前頭葉、海馬、扁桃核の血流異常が関係しているとの報告がありますが、解明されていません。交感神経が優位になりやすい方が多いことから、自律神経の異常ではないかと推測されていますが、それも定かではありません」
続いて多汗症の治療だが、原因がわかっている続発性多汗症であれば、その病気の治療から行われる。一方、原因がわからない原発性局所多汗症では、汗を抑えるための対症療法が選択される。
では、それぞれの治療についてみていこう。まずは手のひら・足の裏の多汗症から。
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