歌舞伎町「ホストの食卓」を支えるシェフの生き様 売れるホスト、売れないホストの違いも見えてくる

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(撮影:梅谷秀司)

まかないがあることで、ホスト同士のコミュニケーション促進にもつながっていると思う、と安田さん。ホストになった動機や目標は人それぞれだが、いつか成り上がってやるという野心を誰しも抱いている。仲間でありライバルでもあるが、ホストたちは同じ釜の飯を食いながら、刺激し合い支え合い、励まし合って、日々の活力を養っているのだ。

安田さんも同様で、まかないを通じてホストたちとやり取りすることで、元気をもらっているという。好き嫌いが多いホストに、「食べられるようになりなさい」と言いつつ、苦手な食材はそっとよけてあげる。手間のかかるメニューをリクエストされ、「できないよ」と首を振るも、結局は作ってあげる。そんなツンデレな対応をすることもあるそうで、ホストたちへの安田さんの愛情がうかがえる。

「今は料理人が僕ひとりだけなので、なかなか休めないんですよね。でもちょっと具合が悪くても、お店に来ると元気になる。ホストたちと話していると、エネルギーをもらえるんですよね。かわいい子もそうでない子もいますが(笑)、結局みんなかわいいですね」

少しだけ寂しいのは、年齢を重ねるにつれ、ホストたちと飲みに行く機会が減ったこと。行くとすればお店の閉店後なので、大抵は朝帰りになり、疲れが取れないからだという。「お酒は大好きなのですが、もう若い子にはついていけないです」と安田さんは笑う。その代わり、料理を習いたいホストがいたら、教えていきたいそうだ。

「胃袋と心を支えてくれる、この店の大黒柱」

安田さんへの取材を終え、改めてホストたちに話を聞いた。

「こないだ、じっちゃんがバナナジュースをつくってくれたんですが、美味しくてびっくりしました! 喫茶店で出てくる、高いだけのやつとは全然違いました」

「某冷凍食品には負けてないんじゃないかな……冗談です、シェフの料理は本当にめちゃくちゃ美味しい」

「安田さんは、みんなのお父さんって感じです。胃袋と心を支えてくれる、この店の大黒柱ですね」

温かな関係性や距離感が表れている言葉だった。先輩でも後輩でも、上司でも部下でもない。親子のように、あるいは孫のように年の離れたシェフとホストたちは、これからも戦友として飲み仲間として、歌舞伎町で多くの時間を過ごすのだろう。

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肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京都生まれ。ルポルタージュや報道系の記事を主に手掛ける。著書に『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』(青月社)、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)。東京・新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」のオーナーでもある。ライフワークは愛の研究。

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