歌舞伎町「トー横」界隈にたむろする若者達の実像 避難所の側面もあるが放置のあげく暴走を招いた
9月19日の夕方5時過ぎ、新宿歌舞伎町にそびえる「新宿TOHOビル」(旧コマ劇場)の周辺に怒号と悲鳴が渦巻いた。
「警察だ、警察、そこ、逃げるな!」
「俺たち、何もしてねーよ」
「おい、お前、暴れるんじゃねえ。今から全員、補導する!」
警察官約30名が包囲し、一斉摘発をはじめたのは、「トー横キッズ」と呼ばれる一群。この摘発で未成年の少年少女たち10人近くが飲酒や喫煙などの非行をとがめられて、補導されることとなった。これまでは彼らに年齢確認をしたり、注意したりする程度だった警察だが、ここへきて本格的に「トー横キッズ狩り」を始めたと見られている。
「まったく、ざまぁですよ。あいつら、ほんとにウザくて、商売の邪魔だったんすよ。このへんの人間はみんなそう思ってたんじゃないですかね」
摘発の様子を見ていた風俗店の客引きの男性は、筆者の取材にこう吐き捨てた。新宿署の関係者も「これまでは静観してきたが、街で商売をしている人や通行人からの苦情が急増。彼らの周りで怪我をしたり、死んだりする人間も頻出している。警察としてもこれ以上、放置しておくわけにはいかない。今後は厳しく対処していくことになるだろう」と語る。
生きづらい少年少女たちの避難所
「トー横キッズ」とは何者なのか。
「ゴジラのオブジェで有名な新宿TOHOビルの東側の路地とその周辺にたむろする10代の若者たちのことです。2018年頃から自然発生的に増えはじめ、ここ1〜2年は毎日、数十人の似たようなファッションの子たちが深夜まで集い、おしゃべりをしたり、お酒を飲んで騒いだりするようになって注目を集めるようになりました」
こう語るのは、「歌舞伎町の社会学」をテーマにフィールドワークを続ける現役女子大生の佐々木チワワさん。メディアで最初に「トー横キッズ」の生態を報告し、その存在を知らしめた気鋭のライターだ。
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