歌舞伎町「トー横」界隈にたむろする若者達の実像

避難所の側面もあるが放置のあげく暴走を招いた

佐々木さんは、「下は12歳くらいから、上は18、19歳くらいまでがメイン層。普段は普通に学校に通っている子もいれば、家出して安ホテルやネカフェに住み着いているような子もいます。歌舞伎町というとヤクザとかヤンキー、半グレといったイメージを抱く人が多いかもしれませんが、そうした昭和から平成までのステレオタイプな不良像みたいなタイプとは見た目からして全然違います」と語る。

(撮影:高橋宏幸)

緊急事態宣言下の平日の夜、新宿TOHOビル周辺を訪れてみると、ピンク、赤、青色の髪をした、明らかに異質な風貌の若い男女の一群がたむろしていた。空き缶やタバコの吸殻などが散乱した路上で、エナジードリンクや缶チューハイを片手に大声で騒ぐ者、その横で虚ろな目でたたずむ者など異様な光景だ。だがよく見ると、コワモテの半グレタイプは皆無で、どちらかと言うと色白で華奢、不健康そうな雰囲気が漂う若者たちに見えた。

「ヴィジュアル系バンドのように、黒を基調にした服を着て、男女ともに濃いめのアイラインを入れる“地雷系”と言われるスタイルの子が大半。もう1つの象徴はリストカットをした傷だらけの腕。もともとは2018年頃、自撮りをする若者たちがSNSで交流するなかで、リアルで会う際の待ち合わせ場所としてトー横を使うようになったのがはじまりと言われています」(佐々木チワワさん)

家庭や学校生活に悩みや問題を抱える子が大半

そこから次第に緩い路上のコミュニティのようなものが生まれ、自らを“トー横界隈”と名乗ってTikTokやインスタなどで界隈で遊ぶ姿を発信していくうちに、どんどん似たような若者が集まるようになったのだという。

佐々木さんによれば、学校ではあまり目立たなかったり、馴染めなかったり、いじめられていたような子が多いという。佐々木さんは言う。

「だいたい毎日、20〜30人の子がたむろしています。その中で常にいる子は十数人で、たまに顔を出す子を入れれば、だいたい百数十人くらいと思われます。家庭や学校生活に悩みや問題を抱えている子が大半ですね。親の過干渉から逃げてきたり、ネグレクトで居場所がなく、救いを求めてトー横に来たりするという子が多い印象です。中には学校からもらったプリントを広げて、仲間と一緒に宿題をやっていたりもします」

薬物や売春などの非行に走る子もいるがそれはごく一部だと佐々木さんは語り、生きづらさを抱える少年少女の「サードプレイス」であり、「アジール(避難所)」だと分析する。

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