歌舞伎町「トー横」界隈にたむろする若者達の実像

避難所の側面もあるが放置のあげく暴走を招いた

一方で、街に与える悪影響を危惧する人も多い。

新宿の表裏に精通するツイッター界のインフルエンサー、Z李氏もその1人。事業のかたわら、拠点とする新宿でホームレスのための炊き出しなどにも力を入れている人物だ。Z李氏は言う。

「最初はかつての竹の子族のような、わりと健全な若者集団かと思っていたが、次第によくない噂を街の住人たちから頻繁に聞くようになった。『トー横の王』を名乗る20代前半の男が現れ、15〜16歳の女の子にピルを売りつけて売春をさせたり、睡眠薬や向精神薬などの処方箋ドラッグを蔓延させ、ストロング缶とともに飲ませてオーバードーズになる少年少女が路上に溢れかえったりするようになった。でも警察を含め、なぜか誰もまともに彼らに注意しようとしない。まるでタブー視するように、彼らに触れようとしないんです」

暴力団も警察も見て見ぬふり

野放し状態となった少年少女たちは、コロナ禍の歌舞伎町でさまざまな問題を引き起こしていった。今年5月には新宿TOHOビル横に建つ「アパホテル新宿歌舞伎町タワー」に宿泊していた未成年のカップルが飛び降り自殺を遂げ、そのわずか1週間後にも19歳の少年が同ホテルから飛び降りて死亡。さらに6月にも飛び降り未遂騒ぎがあった。

飛び降りて死んだカップルは、その直前までトー横界隈でブロン液と酒をあおり、酩酊状態だったという説もある。

Z李氏

そして8月には、トー横界隈で目立つ存在だったという15歳の少年が、路上で60代のホームレス男性に暴行し、怪我をさせる事件が勃発。これらの事件は大きく報じられ、トー横界隈の“闇”が世間に知られることとなった。

それにしても彼らはなぜ野放しとなっていたのか。一昔前なら、地場を仕切るヤクザなど反社会的勢力が黙っていなかったはずだ。警察が介入する前に、そうした勢力が排除するか、逆に取り込むかすることで、ある種の均衡が保たれてきたのが歌舞伎町という街だった。

次ページ誰も触ろうとしないタブーと化した
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