歌舞伎町「トー横」界隈にたむろする若者達の実像 避難所の側面もあるが放置のあげく暴走を招いた

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「そこが重要なポイントだと思っています。トー横界隈には暴力団の事務所もあり、実際、好き放題している子どもたちに怒り心頭らしいのだが、へたに手を出せないと言うんです。暴力団に対する風当たりの強い昨今、未成年の子どもを脅したり、殴ったりなんかしたら一発で懲役ですから。警察にしても、たむろする少年少女に身分証の提示を求めても『持ってない』『忘れた』と言われたら引き下がるしかなく、事実上黙認状態でした」

こうしてトー横界隈は、誰も触ろうとしないタブーと化し、少年少女たちの暴走を招いていったのである。

「25歳まで生きているつもりはない」

最後に“当事者”の声を紹介したい。仮にT君としておこう。現在18歳で、トー横界隈歴2年になるという少年だ。ピンク色のヘアに薄っすらと化粧をした顔は、かなりのイケメンだ。

「ヤクザですか? 僕たちがいくら騒いでいても注意もしてこないから、みんなナメてますよ。情けない奴らだなって」

「なぜ集まるかって、特に目的はないですよ。死ぬまでの暇つぶしっていうか」

「飛び降り自殺した奴らの気分はよくわかります。みんなこれ以上生きてても仕方ないって思ってて、クスリでバキった瞬間、とくに思い悩むこともなく、ふっとダイブしちゃうんだと思いますよ」

「僕も25歳まで生きているつもりはありません。だから将来の目標なんてないですよ。せいぜい死ぬまで、好きな格好をして、ちょっと気の合う奴らと酒を飲んで、楽しめたらそれでいいと思ってます」

日頃はホストクラブの体験入店で数千円の日銭を稼いで暮らしているというT君は、ひとしきり話をすると、「もういいですかね」と言って、席を立った。

根本 直樹 ライター

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ねもと・なおき  / Naoki Nemoto

1967年生まれ。立教大学文学部仏文科中退。その後『週刊宝石』記者を経てフリーに。主に暴力団や半グレなどアンダーグラウンド分野の取材・執筆活動を続けている。

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