「そもそも、予備校に入る以前の問題なんですよね。中学レベルのものがわからない。文字が読めない。勉強の仕方すらわからない。たとえば、英語の勉強をしようと思ったとき、僕は辞書を丸暗記しようとしましたからね(笑)」
大学受験レベルの学力を取り返すためには、1日14時間もの勉強、そして2年間の浪人期間という時間を要しました。しかしながら、何とかICU(国際基督教大学)に合格し、進学することになります。
苦しみながらも大学に進学した安田さんは、大学ではイスラエル、パレスチナをつなぐ国際交流団体の代表を務めたり、ルーマニアにある国際シンクタンクでインターンとして働いたり、バングラデシュの売春婦たちのドキュメンタリーを制作するなど、成長と挫折を繰り返しながらも、数多くの経験をしていきます。しかし、就職活動とそのあとの仕事で、またもや大きくつまづいてしまうのです。
厳しい状況で見つけた自分自身の可能性
「いざ仕事を選ぶ、というときに何も考えていませんでした。ちょうどモチベーションがダウンしていた頃だったこともあり、そこそこ早く帰れそうで、そして興味関心があった途上国のことに少しでもかかわれるかも、という軽い理由から、商社を選んでしまったのです」
その後入社した商社での話は、冒頭でお伝えしたとおりです。入社後わずか4か月で会社に行けなくなってしまい、最終的には退職、引きこもりになってしまい、経済的にも厳しい状況に陥ります。そんな底辺の状況で見つけた自分自身の可能性が、自分の高校時代、ヤンキーから2浪して大学に受かった経験でした。
「社会企業家の助成金の話を見たときに、高校時代の経験を思い出しました。あの当時、確かに最初はつらかったけど、勉強は成果が見えやすい、やればやるだけ何かしらの成果が出る、そうすると自信が付く、という進歩していく喜びがありました。引きこもりや不登校の子たちの中にも、進学によってやり直したいという人もいる。塾などに行きたくても、不登校などで勉強にブランクがあって学力が追いついていないと、バカにされるんじゃないかと心配になったりする。そんな中学生、高校生たちに学習面と精神面のサポートをするものができないかと考えたのが、NPO法人キズキだったのです」
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