若者世代の間で広がる「恋愛偏差値」という呪縛 恋は「平均以上」の人たちがするものなのか

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もはや「デート未経験層」は固定化されていると考えるほうが自然だ。

少子化対策の一環として、出会いの場を増やそうという議論があるが、これは見当外れだ。少なくとも自由意思による参加促進では意味がない。なぜか。その理由は実はもう述べている。「恋愛は『平均以上』の人たちがするもの」だからだ。

この仮説が正しいとすると、用意された出会いの場を有効活用するのは、「平均以上」の恋愛強者のみだ。恋愛強者はマッチングアプリ内の序列でも上位に位置しており、そもそも出会いの場に困ってはいない。

恋愛弱者は市場参入しない

政策上、出会いの場を届けたいのは恋愛弱者のほうだが、彼らは自由意志ではこの場には参加しない。彼らは自分を「平均以上ではない」と規定しており、よって恋愛市場に参入しない。ただし彼らは自分たちを「平均以下と規定している」わけではないことには注意したい(この微妙な感覚を察することがZ世代を理解するうえでとても重要です)。

ところで、何気に使った「デート未経験層の固定化」という言葉。これを連想させるフレーズが冒頭で登場してないか?!

「大学在学中に彼女(彼氏)ができないと、その後一生ひとり」

デート未経験が固定化されたら、その後は一生ひとり。念押しで恐縮だが、かたや統計学的配慮がなされた大規模アンケート調査で、かたや単なる恋バナワード。とはいえ、現在の大学生の先見の明、恐るべし。

金間 大介 金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授

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かなま だいすけ / Daisuke Kanama

北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、 東京農業大学准教授、金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授、2021年より現職。主な研究分野はイノベーション論、技術経営論、マーケティング論、産学連携等。著書に『イノベーションの動機づけ:アントレプレナーシップとチャレンジ精神の源』(丸善出版)、『イノベーション&マーケティングの経済学』(共著、中央経済社)など。

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