ここまで偏差値という表現をしてきたが、実は今の学生は、かつてほど偏差値という言葉にさらされなくなっている。教育現場では相対評価から絶対評価への切り替えが浸透しているし、エスカレーター式に進学できる中高一貫校や、推薦入試による大学入学も増えている。
にもかかわらず、彼らと会話していると、相対比較を連想させる言葉を頻繁に使う。“偏差値的思想”は令和の時代になっても決してなくなっていない。
恋愛に関しても同じだ。今の若者の間には、ざっくりとした「恋愛偏差値」のようなものがあって、割と明確に自分の偏差値を意識している。とくに、周囲から浮きたくない、目立ちたくない「いい子症候群」の若者たちの間では、その傾向が強い。他人との相対比較は、いい子症候群の若者たちが最も日常的に行う行為だ。
気になる“半分”という共通点
最近、「『将来、子どもがほしくない』 Z世代の約5割」という、BIGLOBEが発表した調査結果が話題となった。全国の18歳から25歳までの未婚で子どもがいない男女457人に、将来の結婚と子どもについて、次の4択で質問をしており(カッコ内の%が回答結果)、③と④を合わせた45.7%を「将来、子どもがほしくない」と考える層として扱っている。
インパクトのあるデータだ。実際、ここ最近でも多くのメディアで取り上げられている。このデータをどう解釈したらいいかは、前回の記事「Z世代の若者はなぜ『子どもがほしくない』のか」をご参照いただきたい。
今回、ぜひ注目してほしいのは、「子どもがほしくないが約5割」と「恋愛は平均以上の人たちのもの」という2つの言い回しが、なんとなくリンクしている点だ。
「約5割」と「平均以上、つまり偏差値50以上」。どちらも“半分”である。一方は大規模アンケートの調査結果であり、一方は恋バナで出た言葉にすぎない。同等に扱うことはできないが、妙に気になる。
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