若者世代の間で広がる「恋愛偏差値」という呪縛 恋は「平均以上」の人たちがするものなのか

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そういえば、去年の6月ごろ、こんなデータが話題になった。

「20代男性の4割がデート経験なし」。元データは、2022年6月14日に公表された内閣府『令和4年版男女共同参画白書』が示した調査結果で、正確にはこうだ。「20代男性の65.8%は妻や恋人がおらず、39.8%はデートした人数0人」。

少々荒っぽく言えば4割も“だいたい半分”である。

「結婚と子どもの話と、恋愛の話と、デートの話はそれぞれ別の話じゃないの」と思うだろうか。そう思ったあなたは、失礼ながら“昭和成分”が強めかもしれない。あるいは平成初期成分と言ってもよいか。

1980年代から1990年代にかけて、恋愛至上主義の時代と言われた。デートや恋愛と、結婚や出産を別物と考えるあなたは、この頃に若い時代を過ごした可能性が高い。

デート未経験層が固定化される

今の学生は、恋愛、結婚、出産を、比較的一直線に考える傾向にある。恋愛至上主義者が解釈すると「純愛派」ということになるが、それとは微妙に異なる。昭和の時代には純愛の対極として「遊び人」なんて言葉もあって、恋愛に対する思想や姿勢の違いが顕在化されていた。今の学生は(いくら私が話を振っても)「遊び」なんて言葉は出てこない。純愛以外の選択がない印象だ。

つまり、デート経験がない→恋愛しない→子どもがほしくない、は、すべて1つにつながっているのだ。

4割の20代男性がデートの経験がないとは驚きだが、重要なのは、これが単なる出会いや時間の問題ではないということだ。多くの有識者が、これをコロナのせいと論じているが、それは直接的要因ではない。白書によると、30代男性の34.1%が、やはりデート経験ゼロとなっているからだ。

あくまで男性の場合だが、20代までデート経験ゼロの人に、平均してプラス10年の猶予を与えたとしても、わずか5.7(39.8−34.1)しかデートデビューしていないことになる。この推定は世代の進行によってズレてくるから、あくまでも推定値にとどまるが、逆に言えば、現在の20代が30代になったときには、この5.7%という値はもっと小さくなっている可能性すらある。

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