さらには、成功した人もしていない人も平等にしてほしがる、浮いたらどうしようといつも考えている、上司からの質問を同期に相談するというケースも後を絶たない。「もう、今の若いやつはわからん!」と頭を抱えたくもなる。
『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』は、イノベーションとモチベーションの研究家が、若者心理に迫った本だ。金沢大学と東京大学で教鞭を取る著者の金間大介氏は、若者たちの変化を日々、実感する当事者でもある。
「今の若者たちの行動原理や心理的特徴は『いい子症候群』というフレーズがぴったりくる」と言う。その理由とは――。
講義室のどのあたりに座るのがベストなのか
突然で恐縮だが、あなたは今、大学生だとしよう。
想像してほしい。大きなキャンパスの中、朝一の講義を受けるため、あなたは広い講義室に入ったところだ。そこでストップ。ここで1つ質問したい。あなたは今、講義室のどのあたりに座ろうと思っただろうか?
念のため言っておくが、大学の講義というのは、少人数で行う語学や演習系の授業を除き、座る場所は自由だ。
もしあなたがものすごい勉強家で、絵に描いたようなガリ勉なら、きっと前から3列目あたりに座るだろう。
あるいは、あなたが講師のことをこっそりと慕う奥手な大学生なら、講義の間ずっと講師を観察していられるように、最前列の端っこに座るかもしれない。
しかし、ほとんどの学生はそうではない。前日の夜は遅くまでSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を見ていたか、飲食店のアルバイトをしていたため、寝たのは真夜中をとうに過ぎたころ。したがって、今は眠くてしょうがない。
そもそも多くの学生は大学で勉強なんてするわけない。大学は勉強するところではない。キャンパスライフを送るところだ。キャンパスライフとは勉強ではない。よって大学では勉強しない。にもかかわらず、1限から大学に来ているなんて、それだけでほめてほしいくらいだ。これぞ神。
と思ったあなたは、きっと講義室の後方、しかも両翼のどちらかに陣取るのではないだろうか。そこならノートの上にスマートフォンを置いても教壇から見えることはない。
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