「自分だけ活躍してない」中年社員が抱く深い絶望 「東洋思想」から"苦境を脱する方法"を読み解く

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
悩む管理職
会社に残り地道にやってきたが…転職・独立した同世代と比べて、自分だけ何のスキルもないように感じ、無力感に襲われます(写真:mits/PIXTA)
前回は、東洋思想の考え方をご紹介しながら、問題社員をどう評価するかという問題を取り上げました(「考え方が昭和すぎ」嫌われる年配社員の"活用法"」)。本稿では、『リーダーの悩みはすべて東洋思想で解決できる』より一部を抜粋・再構成して、“リーダーの自信の取り戻し方”について考えていきます。

“左遷”のような人事に落ち込む課長

伊藤は、以前から温めていた計画を実行に移すことにした。新規プロジェクトへの挑戦だ。

うまくいけば、会社の新しい柱になりうる事業である。もちろん、自身のキャリアにもプラスになるだろう。

そんな思いから、企画書を経営会議に提出し、検討の結果、なんとか承認を得ることができた。

ところが……。

予想していた結果がなかなか出ないことで、社内での彼の立場は日増しに悪くなっていった。「いつまで儲からないことをやってるんだ」。そんな陰口も聞こえてきた。

(あと、もう少しなのに……)

しかし、伊藤の健闘もむなしく、トップダウンで「撤退」の決定が下った。プロジェクトの続行に強く反対した役員がいたようだ。

そして、伊藤に「異動」の辞令が出た。

行先は名古屋支店の営業課長。課長ポジションとしてはスライドだが、東京の営業課で担当していた数字に比べると、ビジネスの規模は5分の1程度になった。

「落ち込むなよ。降格でも左遷でもないからな。元の場所にそのまま戻るよりも、少し環境を変えて活躍してもらおうってことだ」

営業部長はフォローしてくれたが、心は晴れなかった。

プロジェクトが失敗だったとは思いたくない。だが、社内では「なかったこと」とされていることが改めて実感できた。

会社から手のひらを返されたような気がして悔しさがこみあげる。それでも今は、現実を受け止めるしかないのだろう。

ある夜、伊藤は夢を見た。3年前に営業課を去っていった部下たちがスタートアップ企業を上場させ、取引所の鐘を鳴らしている。そして、その光景を遠くからボンヤリと眺めている自分がいた。

次ページどんな時代でも“不遇なリーダー”はいた
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事