「考え方が昭和すぎ」嫌われる年配社員の"活用法" 儒家・荀子「性悪説」で読み解くリーダーの資質
「昭和な考え」を押し付ける係長
伊藤哲は東京に本社を置く中堅機械メーカーの営業課長を務めている。「任された仕事には必ず結果を出す」をモットーにしているが、そんな伊藤にも悩みがあった。
課内の第1グループの係長、馬場の存在だ。
馬場は入社歴30年以上のベテラン営業マンで、プレイヤー兼係長としてメンバー5人を率いている。実力がないわけではないが、強引な手腕が少々問題視されていた。
それは、社内でリモートワーク制度導入の説明会が開かれていたときのことだった。
人事部から一通りの説明が終わったところで、馬場が手を挙げて発言した。
「最終的な運用は現場判断ですよね? うちのチームは基本的には出社必須でいきます。営業がリモートワークなんてあり得ないですから!」と一蹴。会社の取り組みをまったく理解しようとしない姿勢に、他の出席者たちは顔を見合わせ、会議室は重苦しい空気に包まれた。
「はっきり言って、考え方が昭和ですよね。いまだに営業は訪問してナンボというスタイルを崩さないし……」
「納得いかないことがあると、時々大きな声を出すことがあるでしょ? だから、みんな、はれものにさわるような感じになっちゃってるんです」
他の係長たちにヒアリングをしても、あまり良い評判は聞こえてこない。
馬場にも見習うべき面はある。「数字」に対する意識は課内でも非常に高い。技術資料を深く読み込んで商談に臨むので、商品説明にも説得力がある。
しかし、だからといって勝手な行動を黙認するわけにはいかないだろう。
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