MBAと中小企業診断士、リスキリングならどっちか 難易度、費用、評価、役立ち度などを徹底比較
リスキリングの流れを受けて、MBAと中小企業診断士(以下、診断士)がビジネスパーソンの注目を集めています。筆者は1998年にアメリカでMBAを取得し、2007年から2018年まで国内のMBAで講師をしました。また1995年に診断士を取得し、2006年から現在まで中小企業大学校で診断士養成課程の講師をしています。
そのため多くの方から「MBAと診断士では、どっちを取った方がいいですか?」という質問を受けます。今回はこれまでいただいた質問と筆者の回答・解説で、MBAと診断士を比較しましょう(※なお、MBAは国内に限定します。診断士は、独学または予備校通学で1次・2次試験に合格する場合に限定します)。
診断士の方が断然難しいでしょう。MBAを取るには学力はさほど必要ありません。
MBAコースに入学すれば、ほぼ全員が修了し、MBAを取得できます。一橋・神戸・慶応・早稲田といったトップ校は、入試倍率が3~6倍と人気です。ただ、1倍台前半あるいは志望者が「全入」というコースもたくさんあります。近年、倍率は上昇傾向にあるものの、学校名にこだわらなければ、MBAを取ること自体は簡単です。
一方、診断士を取るには1次試験・2次試験・実務補習という3つの関門をクリアする必要があります。1次試験は7科目あり、合格には1000時間程度の学習が必要とされます。2022年の1次試験の合格率は28.9%、2次試験の合格率18.7%で、計算上ストレート合格は5.4%という狭き門です。学力の平均レベルは不明ですが、必要最低ラインという点では、診断士の方がはるかに上です。
はい、お金と時間の問題があります。お金と時間に関しては、MBAの方がハードルが高いといえます。
まずお金。MBAコースの授業料は私立で200万~400万円、国立でも100万~150万円します。診断士は、受験料以外にほとんどお金を使わず取得することが可能ですが、現実には合格者の多くが資格予備校に通い、10万~40万円を支出しています。
ただし、MBAは専門実践教育訓練給付金の対象になっており、2年間で最大80万円が給付されます。予備校の診断士講座は教育訓練給付制度の対象で、受講料の20%、最大10万円が給付されます。
時間については、MBAは決まった時間に講義に出席しなければならないので、仕事や家庭生活がかなり制約されます。夜間コースの場合、昼間の仕事と夜間の授業を両立するのは超多忙で、中退したり、体調・精神に不調をきたしてしまうことが珍しくありません。
診断士に合格するには、1000時間以上の学習時間の確保が必要ですが、参考書を読んだり、予備校のビデオ講義を聞けばよいので、すき間時間を使ってマイペースで学習することができます。
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