「65歳の定年までいて何が悪い?」50代社員の憂鬱 「定年までいる社員」がダメなわけではない

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おそらくこの調査結果から多くの人たちは、「だからさ~、何がなんでも会社にしがみつく老害会社員に、会社は頭を悩ませてるわけじゃん」と思うことでしょう。しかし、それもただのイメージに過ぎないことを、この調査は明らかにしました。

経済的な余裕があっても仕事をする人(「経済的な心配がなければ仕事はしない」の問いに当てはまらないとした人)が、男性では50代前半で一旦低下するものの、60代前半で上昇し、5割を超えていたのです。

女性では年齢と共に上昇し、60代前半では6割超にまで増えます。さらに、男性では「定年まで働く意欲のある人」の方が、昇進意欲が高いこともわかりました。50代後半でも男性全体で22%と、5人に1人が「昇進意欲がある」とし、女性の場合は、60代前半でも6.9%「ある」と回答したのです。

※厚生労働省の「令和2年上半期 雇用動向調査」
※ 「変わる雇用社会とその活力 産業構造と人口構造に対応した働き方の課題」
※ 調査は「企業調査班」と「個人調査班」とに分かれて実施されているが、今回取り上げるのは「個人調 査班」による最終報告

会社に残る人の共通点

これらの結果が示唆するのは、

・50歳を超える=「役職定年」で本当にいいのか?
・「女性活躍=若い女性」のままでいいのか?
・「定年まで働く=会社にしがみつく」というイメージでいいのか?

といった問いです。さらに、この調査から、「会社に残る選択をする人の特性」が垣間見える結果も明らかになりました。

〈お互いさま意識〉
・「困ったことがあったら人に助けを求める=ヘルプ型」と「なるべく人に頼らず自分のことは自分でする=セルフ型」の割合は、年齢と共に「セルフ型」が高まり、男性では40代後半以降は8割前後を占める
・職種別では、「営業・販売・サービス」でヘルプ型の割合が多かった
・「役職なし」はヘルプ型が多く、「部長」はセルフ型が多い
〈ヘルプ型はどんな人?〉
・男性の場合「ヘルプ型」の方が、「昇進意欲あり」の割合が高く、「セルフ型」は昇進を明確に拒否する傾向が高い
・40代後半以上の「ヘルプ型」は、ボランティア活動や保育
・介護、町内活動などの、無償労働、社会活動、地域交流に参加する人が多い

さて、いかがでしょうか?「定年まで働く=会社にしがみつく」という言説は、あくまでも「切りたくてたまらない経営者側」の視点です。「会社に残る」という選択をした人たちは金のためだけに残ったわけじゃない。むしろ、会社員としてきちんと働き続けようとしている人たちでした。

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