チョコレートの製造には「テンパリング」といって、「ココアバター」を安定した状態にするための温度調整が欠かせません。
この温度調整がチョコレートの製造過程において一番むずかしいのです。失敗すると「ブルーミング」を起こしたり、口当たりが悪くなったりして、売り物になりません。
だから、質のいい「乳化剤」も機械もない状態で、ひたすら「テンパリング」に励んだものです。
なお、バレンタインなどで家庭で板チョコを溶かして成型する場合も、「テンパリング」は非常に重要です。失敗すると、せっかくのチョコがひどくまずくなってしまいます。
もし自宅でつくるなら、ネットなどで調べて、温度をしっかり計って慎重につくることをおすすめします。
「昆虫の分泌物」からつくる「光沢剤」でツヤツヤに
また「乳化剤」と並んで、チョコレートの添加物で特筆すべきは「光沢剤」です。ここでは「準チョコレート」製品の成分表示に含まれていますが、チョコレートには非常によく使われる添加物です。
「光沢剤」は文字通り、チョコレートをコーティングしてつやを与えるものですが、やっぱりチョコレートは表面がテカテカ、ツヤツヤしていたほうが、おいしそうに見えます。
しかし、この「光沢剤」の正体が「虫の分泌物」だといったら驚く人は多いでしょう。
「光沢剤」では「シェラック」という物質がよく使われますが、これは「ラックカイガラムシ」のメスが分泌する液体。テカテカして、少量で効果が出るから、とても扱いやすいのです。
もちろんこれは厚労省が使用を認めたもの。違反でも何でもありません。でも、あまり気持ちのいいものではないと私には思われます。食品添加物のセミナーや講演会でこの話をすると、みなさんから「ええっ!?」と声が上がります。
自分はともかくとして、「子どもには食べさせたくない」という声もあると思います。気になる人は「表示」を見てから買うことをおすすめします。
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