人気店の予約枠転売?炎上「食オク」社長の考え 1席あたり20万するものもあり、賛否両論呼ぶ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1つ目は、転売との差別化だ。炎上した頃に比べると、だいぶ理解が進んでいるが、まだまだ「飲食店の席を勝手に、食オク側が転売している」と勘違いされることもあるようだ。転売しているのではなく、あくまでも飲食店から提供された正規の席であることが、より伝わるとよいだろう。

また、SNS上では「予約枠を買った人がさらに別の人に転売するのでは?」との懸念の声もある。食オク側は今のところ転売の疑いは確認されていない、としているが、今後もし転売が起きるようになれば、店側と連携して身分証の提示を求めることも検討しているそうだ。

次は飲食店の席をオークションで販売するというスタイルの是非だ。日本では残念ながら、サービス業をはじめとして、専門家=職人に対する評価はあまり高くない。

最高で1席あたり20万円もするという、庶民には理解できないビジネスモデルをどう理解してもらうかどうかが、重要なカギだ。需要と供給の関係において、席=予約に価値があると訴えていく必要があるだろう。

お店もサービスに応じた対価を受け取る必要

最後は、飲食店が儲けることに対する反応だ。日本では「お客様は神様」という言葉を勘違いし、中にはサービス業を下に見る人もいるようだ。

その一方で、日本の飲食店は世界からも非常に評価が高く、シェフの調理技術はもちろんのこと、サービスも評価されている。食オクを通じて店側にお金を還元することで、飲食店の経営に役立ててもらい「日本でスーパースターのシェフが、誕生することを手助けできたらと思います」と、山澤氏も話す。

世界的にも評価されていることと、日本の飲食店はそれに応じた対価を受け取る権利があると、広く理解してもらう必要があるだろう。

いつの時代においても、新しいビジネスモデルが理解されるには時間を要し、当初は批判の対象にさえなる。超予約困難店の価値ある席をオークションで販売するのは、前代未聞のビジネスだ。辛抱強く周知し、理解してもらえるまで訴えかけていくことが極めて重要だ。

東龍 グルメジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

とうりゅう / Toryu

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事