東京藝大のデザイン科(2023年度)の入試は、以下の通りです。
立体構成(粘土を使用しての形成)
あららぎさんが受験した当時は、これらの4つの項目をそれぞれABCDの評価で判断する特殊な受験形式でした(※1次試験と2次試験の内容は2023年度と異なる。学科は7割以上でB評価だった)。
あららぎさんが受験するデザイン科は人気のため、1つでもC評価を取ったら合格が厳しい学科でした。
あららぎさんは現役の受験で、1次試験の時点でD評価を取ってしまい、学科も4割でD評価に終わり、不完全燃焼で終わりました。
東京藝大を諦めきれないあららぎさんは浪人を決断します。「諦める選択肢がなかったんです。ここで諦めたら、自分は必ず人生に大きな悔いを残すと思いました」。
1浪の前半はアルバイトで学費を貯め、後半からそのお金で予備校に入って絵を描きつつ、家で学科の勉強も2時間ほどこなしていました。
めきめき絵の力をつけたあららぎさんはこの年、受験者の5分の4が落ちる1次試験を突破したものの、残念ながら合格には至りませんでした。
「東京藝大の成績開示を見たとき、Cだったのは5割だった学科だけでした。勉強は目に見えて前進している感覚がなかったので、対策を軽視してしまったのです」
悔やんでもしかたないし、もうここまで来たらやるしかないと、あららぎさんは2浪を決意しました。
2浪目も、前年と同じように夏までにバイトで予備校の費用を貯めたあららぎさんは、秋から予備校に入ります。
2浪で心が壊れてしまった
しかし、この年は気負いすぎたために前年よりさらに視野が狭くなってしまったそうです。
「学科のせいで落ちた意識が強くて、秋以降には集中するために図書館に行って勉強するようにして、勉強時間も5時間に増やしました。その甲斐もあって、学科では合格ラインの7割を取れたんです。でも、今度は実技対策に時間を回せず、2次試験で落ちてしまったんです」
もともと大学生活を送る友人への憧れや、もう落ちることができないというプレッシャーで壊れかけていたメンタルは、この不合格で完全に壊れてしまいました。
2浪での不合格を味わった彼女はその後、1カ月くらい何もせず砂浜でずっと海を眺める日々を送っていたといいます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら