専門医が指南、疲れた肝臓を蘇らせる「腸活術」 乳酸菌飲料より「納豆・キムチ」が体によい訳

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腸内環境をよくすることは、脂肪肝の改善に大いに関わります(写真:elise/PIXTA)
長野県佐久市立国保浅間総合病院「スマート外来」では、患者の8割が3カ月で約5kgの減量と、脂肪肝の改善に成功しています。患者さんの成功事例を参考に、肝臓から脂肪を落とす食事の実践的な取り組み方を紹介します。
『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』が大好評の肝臓外科医・尾形哲氏がこの度、『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす7日間実践レシピ』を上梓。本書から一部抜粋・再構成してお届けします。

長期間の便秘が肝臓にダメージを与えていた

脂肪肝の背景には“腸内環境の乱れ”の影響が多々あります。腸内環境の悪化や、慢性的な便秘を起こしていると、腸内に毒素が増えます。この毒素が腸からつながる門脈を介して、肝臓に直接届くことで、肝臓はダメージを受けてしまいます。“肝臓の上流は腸”なのです。だから腸内環境をよくすることは、脂肪肝の改善に大いに関わります。

実際に、便秘を克服したことで脂肪肝が改善した患者さんの成功事例をご紹介します。

Sさん(女性・75歳)の腸は結腸から直腸まで便がびっしりと詰まっていて、CT写真からも便秘であることが明らかでした。そこで、腸によい食材を取り入れるとともに、腸内環境をよくする整腸薬と便を軟らかくする酸化マグネシウムを処方しました。

便秘解消に使われる便秘薬にはいくつか種類がありますが、腸を刺激してぜん動運動を促す「刺激性下剤」は注意が必要です。一時的な効果は高いものの、長期間使用すると薬効に対する耐性がつきやすく、薬を飲まないと便が出せなくなるリスクを伴います。薬局で市販されているものは「刺激性下剤」が主流ですが、安易に飲み続けてはいけない薬です。

Sさんには、副作用がほとんどない「非刺激性下剤」を処方し、便秘を解消して腸内環境をよくしつつ、肝臓の脂肪を落とす方針に決めました。

Sさんが食事で気をつけたのが、ご飯は60gまでに制限したこと。それから、野菜のボリュームを増やすとともに、腸によい納豆やみそ、ヨーグルトなどの発酵食品をとることでした。タンパク質については、歯が悪いこともあって納豆や豆腐などの大豆食品か、魚を食べることが多かったそうです。

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