郷ひろみ、時代に「必死にしがみついてきた」境地 変わらないでいるから、変わり者と評価される
──そのことで、生活や価値観に変化はありましたか?
郷:何も変化はなかったですね(笑)。でも10年以上続けていたら、左でないと居心地の悪いことが増えてきました。たとえば、趣味であるゴルフのティーアップの調整は、左じゃないと落ち着かないですしね。
──また、40代で無期限の活動休止をして、ヴォーカル・レッスンをされていましたね。
郷:40代に入って「GOLDFINGER’99」をリリースして以降、自分に足りないものは何かを考えるようになって。それを埋めないと、50代以降も歌い続けることが厳しくなると思うようになりました。だから、期限を設定せずに自分の満足のいく状態に到達するまで、活動を休止することにしました。それで結果的に3年という時間がかかったのですが。
──その3年間で得たものは大きかったのではないでしょうか?
郷:本当に自分の身につけたいテクニックを習得できた気がします。欲しいと思うものを手に入れるためには、必ず何かを犠牲にしなくてはならないということを学びましたね。何かを始めることに年齢は関係ない。やる気があるかないかの問題だと思いました。
「変わらない」と言われるのは、実は「変わり続けている」から
──40、50代になると、それまでの経験もあり、新しいことに挑戦するのを躊躇しがちです。
郷:変えることは大変です。引っ越しですら煩わしいことばかりなのに、自分を変えるなんてなおさら。でも、振り返ると僕はつねに自分を変えてきた。周囲からは「変わらない」と言われることもあるのですが、実は「変わり続けている」からこそ、そう感じていただいているのだと思う。時代は刻々と変化していく。そのなかで変わらずにいるほうが「変わった」ように見られるのでは?