育休世代のカリスマが、会社を"降りた"ワケ あの話題の筆者が陥ったジレンマ

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本では、この世代がやりがい重視で仕事選びをする「自己実現プレッシャー」と少子化対策などによる「産め・働け・育てろプレッシャー」の板挟みとなっている背景や、この二極化の何が問題か、どうしたらいいかという点も描いています。

パイオニアになれませんでした

最初に懺悔をさせていただきますが、本の最終章で、私は女性たちに向けて「パイオニアとなって声を上げ、入ってしまった会社を変えていくことも重要」と書きました。

それは今も本心ですし、私自身、自分がいた会社で育休世代のパイオニアになりたかった面もあります。でも、そうやって残って頑張ろうとする女子をたきつけておいて、ごめんなさい。私はこの3月末で勤めていた新聞社を辞めることにしてしまい、したがって「会社に残って頑張るパイオニア」にはなれませんでした

ワーキングマザー界を騒然とさせた中野さんの著書『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)

でも最後の最後まで、残る選択肢は検討していました。大きな組織にいてこそ出てくる悩みもあるだろうし、メディアを中から変えていくことも重要だとも考えていました。8年育ててもらった会社で、愛着もあります。

じゃあどうしてその道を採れなかったのか。理由はいろいろあります。今日はそのうちのひとつ、私自身が直面したワーキングマザー(ファザー)にとってのわなについて考えてみたいと思います。

それは、ワーキングマザーが会社組織の中で価値を発揮していることを主張できるひとつの有力な戦略、「生産性モデル」に限界があるということです。

私は本の中では、復職後、女性の処遇として「仕事の内容は変えず、量が変化(減少)した分は報酬面で反映させる。昇進させて高付加価値の仕事を任せるかどうかは、生産性など能力で評価する」ことをひとつの解決策として提示しました。

ただ、自分が復帰してみて、この「生産性」の部分で新たなジレンマがあることを発見することになります。

私は育休から復帰して辞めるまで1年半ほど働きました。かなり自分の裁量で動くことができる部署にいたので、育児との両立にはあまり苦労せずに済みました。日々の小さな仕事のほか、興味のあることを取材・提案し、紙面化することに関しては人並み以上にやってきたつもりです。

所属部署とは関係ないチームにも手を上げて入れてもらい、少なくとも女性活躍、ダイバーシティ、働き方改革などの分野においては、それなりに評価を得てきたと思います。

次ページ当初は順調だった「生産性向上」
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