育休世代のカリスマが、会社を"降りた"ワケ

あの話題の筆者が陥ったジレンマ

その時期に本を出したので、よく、「どうやって、子育てしながら、仕事も出版準備もやっていたのですか」と聞かれます。もちろん、育児を親に手伝ってもらって時間を捻出できたことは大きかったと思います。でも、基本的には17時に退社し、子どものお迎えに行き、それ以降は平日あまり仕事はしていません。

では、いったいどうやって生産性を上げていたのか。

当初は順調だった、「生産性向上」

時短術にはいろいろあります。復帰当初は1分1秒が惜しくて、朝、自分の席に着いたらPCを起動させている間にトイレに行って、うがい手洗い。前日までに書き上げてあるTODOリストを基に、PCがICを読み込んで、ネットに接続している間に2~3カ所電話。私語はいっさいしない。

脇目も振らずに仕事して、直行直帰でできるだけアポの移動時間は削減。17時に職場を出て、走ってお迎え!……ということをしていました。それだけでもそうとう、生産性は上がります。

でも、復帰から半年くらいすると、息切れのするような日々に心が折れそうになりました。あまりにも余分なものをそぎ落としてきてしまった気もして、このままでいいのだろうかと不安にもなります。

そこで、効率化のやりすぎをやめて、同僚との雑談、時に記事化の予定がなくても人と会うことなどを再開してみました。すると、やはり仕事上の新たなアイデアは沸いてくる気がします。視野も広がります。

こうなると再び、ある意味で「無駄」な時間が増えているはずですが、なぜか仕事のクオリティも効率も落ちていない気がします。

どうやってこれを実現していたのか。どうやら、育休から復帰後、私は、自分が圧倒的に強みを発揮できる分野でしか勝負をしなくなっていたようです。

私は経済のさまざまな動きを記事で解説する部門にいました。特定の担当分野があるわけではなく、あまり詳しくないテーマの記事を書くこともあります。そのようなときは、「ろくに取材をせずに書いて、その世界の常識から外れたことを載せてしまわないか」「この問題を論じるなら絶対外してはいけない論点を落としていないか」と不安です。

自信を持って記事を出すには、きちんと予習して、気が済むまで徹底的に各方面に取材をしたい。それには、ものすごく時間がかかります。

一方、強い分野は、普段から趣味の延長で本も読んでいて、知識も仕入れてあるし、自分の中で論点マップがある程度できているので、予習も取材も執筆も、とにかく早いわけです。なので、ある程度詳しいテーマばかり選んでいれば、生産性は上がります。

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