――欧州女子ツアーは21カ国・地域を回るツアーです。2月2日に開幕しますが、初戦はケニア(マジカル・ケニア女子オープン)。ツアーは1人で回りますか。
識西:初戦は心配なので母が一緒に行くのですが、ツアーは基本、1人で回る予定です。荷物を持って移動するのは大丈夫なので。南アフリカとか行くので黄熱病の予防注射とか打たないといけない。
――言葉や食べ物の心配はありませんか。
識西:なんとか、知っている英語を使って行きます(笑)。食べられないものはないので、たぶん大丈夫かな。
――どういうプレーを目指しますか。
識西:1年を通して戦ったことがないので、気持ちの体力も必要だと思います。気持ちの波をあまり立てずにプレーできたらいいかなと思います。
日本のプロテストの難しさは以前の10倍、20倍
話をしている識西の表情を見ていると、長距離の移動や言葉の不安よりも、試合に出られる期待感のほうが強いようだ。
日本では先述した宮里藍の登場で、プロゴルファーを目指すジュニアゴルファーが増加した。その受け皿となるJLPGAではプロテストに合格していなくても、ツアー出場権を争うクォリファイング・トーナメント(QT、予選会)に一定の条件を満たせば出場でき、上位になれば日本ツアーに出場する道があった。
しかし、2019年にプロテストに合格していなければQTに出ることができないと改定。それまでQTを利用してきた外国人選手もプロテストを受けるようになり、プロテスト合格(20位タイ)へのレベルが上がっている。
識西のように、アメリカでは最終予選会まで進み、欧州では出場権を獲得する、という実力がありながら、日本のプロテストには合格できていないというレベルの選手たちが、若い世代にたくさんいるといっていい。
識西の海外挑戦を後押しした井上プロは、国際ジュニアゴルフ育成協会を立ち上げるなどジュニアの育成に力を入れるとともに、多くの女子プロゴルファーのコーチを務めている。
「今の日本の女子プロテストは、かなりの技術力があってツアーに出られるレベルでも厳しい。ここ数年のプロを目指すジュニアの増加に対して、20位タイという枠は、以前のプロテストの10倍、20倍の難しさではないでしょうか。
今はプロテストに受からなかったらアマチュアでやりながら日本ツアーに出るチャンスを目指すという流れですが、日本のプロテストに落ちたら海外に打って出るという選択肢があっていいと思います。ただ自分がどのレベルのツアーで戦うかを見つけるのが大事ですが、難しいことでもあります」(井上プロ)
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