識西は欧州女子ツアーの最終予選会の前に、12月初めのアメリカ女子ツアーの最終予選会(Qシリーズ)にも挑戦したが、最終日にスコアを崩して出場権獲得を逃した。
そのときに一緒に回った選手から欧州女子ツアーの最終予選会の話を聞き、自分で調べてエントリーが間に合うことを知り、すぐにエントリーしてアメリカから会場のスペインのレアル・ゴルフ・ラ・マンガ・クラブにパリ経由で向かったというから、決断力、度胸はありそうだ。
福岡県出身の25歳。10歳のころに両親と練習場に行ってゴルフを始めた。「当たらなくて大泣きしていたのは覚えている」という出会いだったが、徐々にゴルフが面白くなっていったそう。福岡第一高では福岡県女子アマなどに勝っているが、全国的には優勝経験はない。高校卒業後、プロを目指してプロテストに挑戦してきたが、7回受けてまだ合格していない。2022年は合格まで5打差だった。
コロナ禍直前に、ティーチングプロ、プロコーチとして定評がある井上透プロのインスタグラムなどを見て、自分から門をたたいて「弟子入り」した。今回の最終予選会では急きょ、井上プロに連絡してキャディーを依頼し、スペインに来てもらった。「師弟」で勝ち取った欧州女子ツアー出場権でもある。
帰国した識西に話を聞いた。
試合に出たいという気持ちが強い
――5日間の最終予選会、とくに最終日の最後は1打落とせば合格できない状況でした。
識西:前半はいい感じで余裕があったのですが。後半流れが悪くなって、何としてもカットライン(3アンダー)以内でプレーしたいと。私はすぐ怒ったりするんで、井上さんから「我慢、我慢」とずっと言われていました。
最終ホールは2オンできるパー5だったのですが、左に池があって、絶対に入れないと思って打ちました。グリーンは事前に「状態が悪い」と知らされていたとおりボコボコでしたけど、最後のパーパットはタップインで終われました。
――日本のプロテストは7回受けてまだ合格できていません。合格前にアメリカ、欧州と、海外に挑戦したというのは異例です。
識西:(プロテスト受験数は)数えないことにしているので(笑)。友人や後輩が(プロテストに合格して)活躍していて差を感じるし、私はこれまで年1回のプロテストを受けるために練習するという生活でした。
高校時代から海外でいずれはプレーしたいと思っていて、(2022年)全米女子オープン予選に通って本戦に出たのですが、予選落ちでした。井上さんから言われたのは「試合経験が足りない」ということでした。自分もそう思ったので、アメリカの予選会を受けることにしました。
――アメリカでは残念な結果でしたが、すぐに欧州に切り替えた。
識西:調べたらエントリーができると知って、両親に相談したら「いいんじゃないか」と言われたので。すぐ井上さんに来てもらうようお願いしました。自分では、試合に出るのがプロゴルファーだと思うので、試合に出たいという気持ちが強いです。
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