「学校の宿題で苦しむ親子」…その大きすぎる弊害 一律に出される宿題、それ本当に必要ですか?

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それに、先生たちにとっても宿題は非常に大きな負担のはずです。例えば、次のようなことが必要になるからです。

・宿題を出す準備
・提出後の確認と評価
・未提出の子に事情を聞く
・やってない分をやらせる
・提出された宿題の丸つけやコメント書きをする

これらのどれにおいても毎回時間がかかります。それに追われて、子どもとの触れ合いや授業準備の時間が取れないというのもよくある話で、まったくの本末転倒です。また、休憩時間が取れなくなったり残業時間が増えたりということもありますし、持ち帰り仕事になっている先生も多いのが実状です。これでは先生の働き方改革にも逆行しています。

また大きな問題の1つが、宿題が一律に出されることです。冒頭でも書いたように10分でできる子とそうでない子がいるわけで、個人差が大きすぎるのです。では、個別最適化して各自に応じた宿題が出せるかというと、それも難しいです。

実は、私も小学校の先生だったとき、子どもの学力に応じて3段階で宿題を出したことがあります。でも、やり始めてすぐにわかったのは、これは無理だということでした。というのも、約40人の子がそれぞれの宿題をちゃんとやってきたか把握するのは、非常に面倒で手間がかかる作業だからです。結局1週間も続きませんでした。

宿題をやめた学校や学級も出てきている

こうしたことからも、私は宿題をやめるのがいちばんいいと思います。たとえ出すにしても、量を大幅に減らすべきです。

実際に日本のあちこちで、宿題をやめた学校や学級がけっこう出てきています。学校長の英断で全校一斉に宿題をやめた事例として有名なのは、工藤勇一元校長の東京都千代田区立麴町中学校や、藤田忠久校長の岐阜市立岐阜小学校などです。また、小学校の夏休みの宿題をナシにした澤田二三夫校長の実践も広く知られています。

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最後に、今現在宿題の過重負担で悩んでいる子については、親が救ってあげることが必要です。子どもが宿題に苦しんでいる場合、大人の交渉術で上手に先生に頼んで、救ってあげてください。学級全体に関わる問題だと思われる場合は、学級役員さんから交渉してもらうのもいいと思います。

まず先生に日頃の感謝の言葉を伝えます。次に「うちの子、先生のことが大好きみたいです」と先生が喜ぶ言葉を、ぜひ入れましょう。それから、子どもが宿題のことで毎日苦しんでいることを伝えて、宿題を減らしてもらいましょう。夏休みや冬休みの宿題も同様です。

最後の最後に先生たちに1つお願いがあります。間もなく冬休みに入りますが、ぜひ宿題をナシにしてください。この年末年始には子どもたちにとって楽しいことがたくさんあります。宿題の憂いから解放されて心から楽しめるようにしてあげてください。

親野 智可等 教育評論家

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おやの ちから / Chikara Oyano

長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5000人を超え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中。講演のお問い合わせとメルマガ登録は公式サイトから。Xで毎日発信中。

 

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