「厳格なしつけ主義」が日本の親子を不幸にする 服装や頭髪指導をやめた校長の信念
自由な校風を目指したわけではない
徹底したスパルタ。極端な放任。親の数だけしつけの方針があると言っても過言ではありません。学校も同じで、いまだに軍隊組織のような厳格なルールで子どもたちを縛る学校もあれば、自由な校風をアピールする学校もあります。
麹町中学校には、細かい校則はほとんどありません。私が校長に赴任してから服装や頭髪指導もやめました。
「なぜ自由な校風を目指すのですか?」
「自由な環境であれば、子どもの自律の訓練になるからですか?」
そんな質問を受けることがありますが、そうではありません。当校では、大事にしている概念のなかに校則がないだけです。つまり、子どもにとって「自由であるか? 自由でないか?」という議論は、存在しなくていいのです。ここは誤解を招きやすいところなので、丁寧に解説します。
たとえば、イスラム教徒の女性はヒマールやヒジャブと呼ばれる服装を身につけています。それは戒律があるから従っているだけで、彼女らにとってはあたりまえの行為です。いってみれば、私たちが「普段、服を着る」のと何ら変わりはありません。着方・種類のちょっとした違いだけです。
世界を見渡しても、そうした文化の違いはいくらでも存在します。ただ「違っている」というそれだけです。その「違い」が「どのくらい違うか」に目を向けることは、果たして重要なのでしょうか。
私たちは、教育の本質として服装や髪型、見た目の違いを取り上げて騒ぎ立てることを、重要であるとは捉えていません。校則を減らしていくと不安がる親やOBはたくさんいらっしゃいます。とくに就任当初は、きついお叱りの言葉もいただきました。ただ考えなければならないのは、「何を教えるべきか」です。
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