「結局、要領のいいヤツが出世するんだよな……」
多くの企業で、このようなやっかみの声が聞かれる。ということは、多くの企業で出世するのは、「要領のいい人」だということになる。なぜだろうか?
日本の中小企業からフォード、GE、ロイター、モンサントなど世界に名だたる大企業まで、多くの企業で人事責任者として働き、出世する人をつぶさに見てきた村上賀厚氏は、新刊『元・外資系人事部長が見た 要領よく出世する人』の中で、「要領のいい人が出世するのは、いつの時代の、どこの国の、どんな企業でも変わらない『現実』」だと言い切る。
本連載では、「要領のいい人」が出世する理由と、「要領よく」働き、出世するためにすべきことを、4回に分けて解説してもらう。
前回は、単位時間当たりの労働生産性が国際比較で低いことを指摘し、必ずしも日本の企業が「要領よく」仕事を進めていないことを書きました。企業が要領よく仕事をしやすい環境を作り、効率よく成果を出していくことは、日本社会にとっては重要です。
もちろん個人としても、効率よく仕事をすることは不可欠で、ひいては出世するのにも大切な要素であることに、疑いの余地はないでしょう。
さて、今回は、この「要領よさ」というものを掘り下げて説明いたします。
一般的に、要領のいい働き方とは、与えられた仕事をテキパキとこなすというイメージがあります。それはそれで大切なのですが、こういった仕事をテキパキできる人や、成果をそれなりに出している人の中に、会社に対する不満を持つ人がかなりの割合でいるのです。
なぜでしょうか? これは、働く人の多くが、会社という組織(生き物といっていいかもしれません)の特性を認識していないことによるものです。自分がいる組織を理解していなければ、仕事で成果を上げることはもちろん、出世などはできません。
例を挙げて、説明していきましょう。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
ログインはこちら