会社が40%のグループ評価を導入した理由は、こういったグループ評価を入れて社員が協働しやすい仕組みを作るほうが、会社としてメリットがあると考えているからなのです。数字を上げるアグレッシブな営業マンが不平をもらすのは会社としても困るでしょうが、チーム評価を一定割合入れて、協力して働いてもらうことのメリットが非常に大きいからです。
要領の悪い人は、視野が狭い
協力を促進することにより、会社にどんなメリットがあるのでしょうか? まず、人材が比較的育ちやすい。なかなか数字を出せない営業マンを容易に辞めさせるよりも、上司やできる営業マンがサポートすることで育成するほうが、会社にはプラスになることが多いのです。
次に、チーム内での協力を促進することにより、管理コストを節約できる点が挙げられます。協力関係ができていれば、担当者が不在のときには自分以外の顧客にも対応するでしょう。この協力がないと、自分以外の顧客には関心を示さず、放ったらかしになり、苦情につながるかもしれません。そのため、電話担当を置く必要があったりして、コストがかかります。ほかには、人の入れ替わりが激しくなると、採用や新人教育にコストがかかってきます。
そもそも、この不動産会社の顧客は、営業マン個人というよりは会社の信頼度で商品を購入しており、どんなに優秀でも、営業マンひとりで高額な不動産を売れるものではないのです。土地を仕入れる担当、建築をコーディネートする担当、提携ローンを組む担当、契約書を作成する担当、アフターサービスをする担当などなど、ほかの部門の協力があってこその営業成果なのです。営業だけ個人プレー重視で、売れば歩合で高待遇だと、他部門への示しがつかず、会社として成り立ちません。経営者としては、100%個人の営業成績だけで評価するなど、ありえない選択なのです。
このように、出世できない人は、「自分の仕事」という狭い視野だけで物事をとらえがちなのです。このケースでいえば、評価・処遇制度を、自分が得かどうかだけで考えて、不満を持っているのです。会社は、あなただけのために制度を作っているのではありません。より高い視点、つまり、経営の視点で見れば、当たり前の制度なのです。
このように、「会社の特性を考える」ことによって、よりストレスを小さくして働くことができます。会社の特性を把握していれば、プレーヤーとしても、おのずといい動きができるでしょう。
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