出世する人は「人事規定」を読み込んでいる 制度に込められたメッセージをくみ取れ

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一方で、保険会社のように、チーム評価をほとんど重視しないところもあります。

保険会社が扱う商品は、各社間で大きな差はなく、営業マンも自分たちの人脈で売っていきます。顧客は会社ではなく、営業マン個人に帰属します。契約時には管理職の同行説明もあるでしょうが、社内の社員間協力はほとんど必要ありません。つまり、不動産販売と異なり、個人の力に負うところが非常に大きいのです。また、人材の流動性が高く、転職も容易なため、優秀な営業マンを引き留めておくためには、チームワークなどと悠長なことを言ってはいられないわけです。

逆に、電鉄会社はどうでしょうか? ちょっと考えただけで、歩合とは程遠い業界だということがわかると思います。マニュアルに従い、安全第一。アグレッシブさはまったくといっていいほど不要でしょう。社員に勝手なことをされたら、会社としては困るわけです。

このように、業界によって特性が異なるので、ぜひ、自社の特性を考慮に入れながら、人事制度を読み込んでみてください。「部門内で、協力態勢はどの程度必要か?」「それがないと管理コストは上がるか?」「顧客は会社についているか、個人についているか?」「他部門のサポートはどのくらい必要か?」「人材の流動性はどの程度高いか?」などを見極めていくと、人事制度の意味が腹に落ちることでしょう。

出世する人たちは、こういった人事制度の特性を見極めたうえで仕事をしています。これが、私が強調する「要領のいい働き方」のひとつです。

人事制度に込められたメッセージを読める人が出世する

人事制度をはじめ、ルールにはそうなっている理由や意味、背景があります

もちろん、制度の意味や背景は、経営者や管理職が、社員に対してしっかりと説明すべきことです。ですが、私のコンサルティング経験で言わせていただくと、経営陣はそれなりにやっているのですが、現実問題としてはなかなか伝わらないのが現状で、「社員にうまくメッセージが伝わらない」と悩む経営者は多いものです。

むしろ、だからこそ、一社員としてしっかりと自社の制度を読み込み、背景も含めたメッセージを把握して行動すれば、出世すると言えます。会社の期待を把握し、会社が期待する行動をとることができるのですから。

「自分は出世しなくてもいいから、プレーヤーとして活躍したい」という人でも、制度の背景を理解していることにより、よりスムーズに仕事ができるというものです。

ぜひとも、会社、経営陣の視点から考えることで、要領よく出世していただきたいと思います。

村上 賀厚 ノリ・コーポレーション代表取締役

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むらかみ のりあつ / Murakami Noriatsu

有限会社ノリ・コーポレーション代表取締役。グロービス経営大学院客員准教授として、人材マネジメントや組織行動・リーダーシップ分野を担当。
同志社大学商学部卒業、イェール大学経営大学院経営管理学修士(MPPM: Master in Public and Private Management、現MBA)取得。大阪市生まれ。
マーケティングエージェンシー2社で営業およびプランナーとして勤務後に、株式会社日本コンサルタント協会および住友ビジネスコンサルティング株式会社で人事コンサルティングを経験。
イェール大学経営大学院留学後は、フォード自動車(日本)株式会社(人事課長)、日本JDエドワーズ株式会社(人事部長)、日本モンサント株式会社(人事総務本部長)、ロイター・ジャパン株式会社(人事本部長)、GEコンシューマー・ファイナンス株式会社(人事本部ディレクター)など、世界の上場企業の日本法人で人事の責任者を務める。独立後はノリ・コーポレーション代表取締役として研修やコンサルティングを行うとともに、収益不動産の開発も手掛ける。

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